2022 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢の変化に着目したPPI投与が及ぼす薬物代謝能への影響の評価
Project/Area Number |
20K16073
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 達也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (20858071)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | PPI / ボノプラザン / CYP3A5*3 / 4β-OHC / CDI |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の薬物相互作用は、併用薬の血中動態および臨床効果を変動させることが臨床上の問題になっている。本研究では、ヒトにおける PPI投与時の腸内LCA産生菌の変化が及ぼす薬物代謝能への影響およびそのメカニズムを明らかにすることを目的に、①ヒトでのPPI投与による薬物代謝能(内因 性CYP活性マーカー)および腸内LCA産生菌(Bacteroides属やClostridium属など)の変化の評価、②PPIの種類とその血中濃度が及ぼす薬物代謝能や腸内細菌叢 への影響の評価、③PPI投与の模擬環境下におけるヒト肝・腸管細胞でのCYP3A4発現量とその活性の評価を行うこととしている。 2022年度は、医療データベースを用いた研究に着手している(ボノプラザンを含むPPIとC.difficile感染症との関係の解析、PPI投与によるCYP代謝薬剤の薬効・有害作用発現頻度の解析)。まず、浜松医科大学医学部附属病院の臨床研究DBシステム『D☆D』を用いた予備調査を行い、必要サンプルサイズの計算を行い、使用する医療データベースを決定し購入した。データソースにメディカル・データ・ビジョン株式会社の医療データベースを用いている。曝露(Exposure)をボノプラザンを含むPPI、OutcomeをC.difficile感染症としたcohort studyを実施している。解析には、Negative control群にH2ブロッカーの使用した患者として、cox regressionを用いたcohort studyによりハザード比(95%信頼区間)を算出する方法、およびlogistic regressionを用いた、case-control studyによりオッズ比(95%信頼区間)を算出する方法の2つを検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床試験の患者登録が遅れているため、腸内細菌に関連した評価も遅れている。また、2022年度より、医療データベースを用いた研究に着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
患者登録を進め、患者検体の収集、内因性CYP活性マーカーの測定、薬物血中濃度測定、腸内細菌叢解析を開始する。 また、データベースを用いたPPI投与による腸内細菌および併用薬剤への影響について評価を進める。
|
Causes of Carryover |
患者登録および患者検体の収集が遅れており、検体の測定が実施できていないため、一部消耗品の購入が見送られたため。 2023年度からは患者登録および患者検体の収集を進め、消耗品関連の購入し、各種測定を開始する予定である。
|