2020 Fiscal Year Research-status Report
The effects of immune checkpoint inhibitors on allergic symptoms by anticancer drugs
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20K16076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣部 祥子 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (70644582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | infusion reaction / リツキシマブ / 免疫チェックポイント阻害薬 / 抗体医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、抗がん剤によるアレルギー症状に関する研究について、下記のような結果を得た。 1) 抗体医薬品によるインフュージョンリアクション (IRR) の発現率が高いリツキシマブ (RTX) について、大阪大学医学部附属病院血液腫瘍内科において初回投与された症例を対象としたレトロスペクティブ調査を行った。非ホジキンリンパ腫症例に限定した解析において、濾胞性リンパ腫におけるIRRの発現頻度が他の疾患よりも高いことを明らかとした。また、IRRの発現リスクとして花粉症の病歴の有無が関与する可能性が示唆された。 2) RTXの初回投与においてIRRを発現した症例の2回目投与時の副作用を追跡調査したところ、初回にIRRを発現した症例のうち約3割が2回目の投与でもIRRを発現することが明らかとなった。初回にIRRを発現した場合、2回目の投与において支持療法薬の強化や投与速度の減速が実施される。これらの対応についても併せて解析したところ、支持療法薬としてステロイドの強化を実施することがIRRの発現抑制に寄与することが示された。 3) 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) であるペムブロリズマブ (Pemb)、アテゾリズマブ (Atezo)、デュルバルマブ (Dur)についてIRRの発現に関する実態調査を大阪大学医学部附属病院において実施した。これらのICIによるIRRの発現率は添付文書による情報だと数%であるが、実態調査をしたところIRRの発現率は18~29%と比較的高かった。また、出現した症状に対する追加処置 (解熱鎮痛剤の投薬等) が実施された症例も確認されており、ICIの初回投与時にはIRRの発現について十分注視する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リツキシマブによるインフュージョンリアクションの研究については、医師との共同研究による前向き研究の実施を検討しているが、COVID-19の感染遷延に伴い、進めることができていない状態である。レトロスペクティブ調査についてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) リツキシマブによるインフュージョンリアクションの研究について、患者背景情報の追加収集を行い、疾患のステージ等も含めた解析を実施する。血中のサイトカインやケモカインの測定も進め、多変量解析によるインフュージョンリアクションの発現に関連する因子を探索する。また、その結果を踏まえて前向き研究の準備を進める。 2) リツキシマブ以外にも血液腫瘍内科にて使用され、インフュージョンリアクションの発現率が50%を超える抗体医薬品が数種類あり、これらの抗体医薬品についてもレトロスペクティブ調査によるIRRの発現実態調査を実施する。 2) 殺細胞性抗がん剤であり、アレルギーの発症頻度が比較的高いパクリタキセルやカルボプラチンについてレトロスペクティブ調査を開始する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染遷延により、一時期研究中断を余儀なくされたため、実験および研究に関連する経皮を次年度に持ち越した。また、開催中止となった学会が多く、旅費に計上していた経費を次年度に持ち越した。 血液中の微量生理活性タンパク質の測定を実施するために必要な機器・物品の購入を予定している。また、関連学会へと参加し、情報収集するとともに研究成果の発表を推進する。リツキシマブによるインフュージョンリアクションに関する研究については英文論文報告に向けて準備を進める。
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