2021 Fiscal Year Research-status Report
カルバペネム系薬使用量予測のための新規メトリクスの開発
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20K16090
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
前田 真之 昭和大学, 薬学部, 准教授 (50623055)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カルバペネム系薬 / 抗菌薬適正使用 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬適正使用の指標として各医療機関における抗菌薬使用量が用いられているが、カルバペネム系薬の使用は施設特性や入院患者の背景に大きく影響を受けるため、これらの因子が含まれない単純な使用量では比較や評価が困難である。そこで本研究では、医療機関においてカルバペネム使用量に影響する因子を検討し、施設特性および患者背景を加味した使用量予測モデルの構築を行った。診療群分類包括評価(diagnosis procedure combination; DPC)データを用いて、病床数、施設類型、主要診断群(major diagnostic category; MDC)を共変量、defined daily doses/1000 patient-daysを従属変数とする線形重回帰分析により、カルバペネム系薬の標準化・予測使用量メトリクスの構築を行った。その結果、病床規模、療養病床比率、DPC標準病院群、各MDCの患者比率(眼科系疾患、耳鼻科咽喉科系疾患、呼吸器系疾患、循環器系疾患、消化器系疾患、腎・尿路系疾患、血液系疾患)がカルバペネム系薬の使用量に関連していることを明らかにした。本年度はさらに機能評価係数の解析を実施したところ、標準病院群においてカルバペネム使用量と機能評価係数Ⅱに正の相関関係、大学病院群において、カルバペネム使用量と複雑性係数に正の相関関係があることを明らかにした。また、構築した予測メトリクスが、実際の医療機関におけるカルバペネム使用関連因子と一致するかどうかを明らかにするために、昭和大学病院におけるカルバペネム長期使用の関連因子に関する多変量解析を行った結果、免疫不全、呼吸器感染症、腹腔内感染症が関連しており、予測メトリクスの因子と一致していた。以上より、単施設ではあるものの医療機関の実情を反映した予測メトリクスとなっていることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用量予測メトリクスを構築し論文として報告した。さらに、機能評価係数もあらたに追加の関連因子として解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
機能評価係数との相関分析を実施し、関連性がみられたことから、施設特性など複数の因子を加えて多変量解析を行う。また、カルバペネム使用に関連する因子を、データベースだけでなく、医療機関の実際のデータを用いた解析を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、学会がオンライン開催となり旅費がかからなくなったため。 翌年度は論文の英文校正費用と掲載料に使用する予定である。
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