2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of nasal vaccination system based on co-delivery of antigens and immunostimulants by the polymers bearing cell-penetrating peptides.
Project/Area Number |
20K16097
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
鵜川 真実 摂南大学, 薬学部, 助教 (50735511)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘膜ワクチン / 膜透過ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ワクチンの免疫賦活化作用を向上させる添加物であるアジュバントとしてよく用いられているTLRリガンドと、本研究室で開発されたオリゴアルギニン固定化高分子の併用により、より高機能なワクチンの開発を目的としている。 昨年度の研究で、TLRリガンドによる樹状細胞の成熟がオリゴアルギニン固定化高分子による抗原取り込みを抑制し、相乗的なワクチン機能向上を妨げている可能性が示された。そこで、TLRリガンドとしての作用を持たないクルクミンを併用薬物として用い、評価を行った。 その結果、クルクミンとオリゴアルギニン固定化高分子の混合物を樹状細胞株に処置した際に、TLRリガンドと異なり、クルクミン存在下でもオリゴアルギニン固定化高分子による抗原取り込みはほとんど影響を受けなかった。一方、興味深いことに、オリゴアルギニン固定化高分子の有無にかかわらず、樹状細胞株はクルクミンを非常によく取り込み、免疫反応に大きな影響を与えることが期待された。しかし、TLRリガンドと同様にクルクミンとオリゴアルギニン固定化高分子の混合物を抗原と共にマウス鼻粘膜に投与した際には、併用効果はみられなかった。この原因として、クルクミンはバイオアベイラビリティが低く、オリゴアルギニン固定化高分子と混合するために単純に可溶化したのみでは治療に必要な濃度に達しなかった可能性が考えられる。クルクミンは、ナノ粒子化などによってワクチンアジュバントの他にアレルギー治療においてもin vivoで効果が得られることが報告されており、ワクチン以外への応用の可能性も含め、オリゴアルギニン固定化高分子との併用の可能性は今後も検討する価値があると考えられる。
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