2020 Fiscal Year Research-status Report
良好な臨床試験の結果が医薬品処方動向に及ぼす影響の調査:糖尿病領域における検討
Project/Area Number |
20K16102
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
池谷 怜 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (50846540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / システマティックレビュー / メタアナリシス / レセプトデータ / 時系列分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年、良好な結果を示した臨床試験の報告が相次ぐ糖尿病領域をモデルケースとして、これら臨床試験結果の公表が関連する医薬品群の処方動向へどのような影響を及ぼしたのかを調査することである。今年度は、これまでに公表された臨床試験論文やレビュー論文、関連する診療ガイドラインを収集し、処方動向に影響を及ぼすと予想される要因を整理することを予定していた。 今年度は、まず、既存のシステマティックレビューやメタアナリシスの論文を収集し、これら論文の内容を精査することで、本研究において新たにどのようなシステマティックレビューを実施すればよいかを検討した。その結果、2019年4月までの主要な文献を網羅したネットワークメタアナリシス論文が存在したため、この文献において採用されていた臨床試験の情報を整理するとともに、2019年4月より後に公表された論文がないかを調査することを目的としたシステマティックレビューの実施を計画した。 また今年度は、次年度にレセプトデータを用いた実際の分析を予定していたことから、分析時の留意点の整理や分析プログラムの開発を目的とした予備調査を行った。時系列分析の方法論に関するレビュー論文を精査するとともに、これら論文では取り扱われていなかった、分析時のデータセットの作成方法について、実際にレセプトデータを用いて検討した。その結果、データセットの作成時において、分析対象期間の設定、対象集団の経時的な均質性、サンプルサイズに留意する必要があることが明らかとなった。この研究成果については学術集会での公表を行った。 今年度は次年度以降に向けた予備調査が大半を占めたが、一部、既存の研究報告を補完する部分があり、関連する学術領域の発展に寄与するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会情勢の影響もあり、研究体制の構築、研究の実施方法など大幅な修正が求められ、当初の予定よりもやや遅れが生じている部分がある。具体的には、今年度予定していたシステマティックレビューの実施と、これに基づくメタアナリシスの実施については、計画が終わった段階であり、実際の遂行については次年度に後ろ倒しとなった。 一方、次年度以降に実施する予定のレセプトデータを用いた分析については、おおむね計画が完了しており、倫理審査委員会の承認、データの整備、データセット作成のための分析プログラムの開発についても完了している。したがって、本研究の中核をなす部分については順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度において、まず、予定よりもやや遅れているシステマティックレビューおよびメタアナリシスについて、構築された研究体制に基づき進める。レセプトデータを用いた分析については順次開始し、学術集会や学術論文での発表を意識したまとめを行う。
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Causes of Carryover |
今年度は社会情勢の影響が大きく、参加を予定していた学術集会の中止またはオンライン開催によって旅費の支出が減少した。また、研究体制の構築に伴い人件費・謝金が発生することを予想していたが、対面で研究を実施することを想定した研究体制の見直しが必要となり、支出が減少した。 一方次年度は、一部現地開催の学術集会や、新たに構築した研究体制に対する支出が見込まれるため、通期で予定通りの支出となる。
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