2021 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼCεによる一次線毛退縮制御機構の解明
Project/Area Number |
20K16105
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
稲葉 弘哲 三重大学, 医学系研究科, 講師 (80791334)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一次線毛 / ホスホリパーゼC / 細胞周期 / カルシウムシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
一次線毛はほぼ全ての細胞で細胞周期静止期(G0期)に形成されるアンテナ様の構造物で、物理的・化学的刺激を受容し、細胞の増殖・分化・極性を制御している。G0期の細胞が増殖シグナルの受容によって細胞周期へ再進入するためには一次線毛の退縮が必須であり、この機構の破綻は適切な細胞周期の進行を妨げる。我々は最近、受容体直下で機能し、カルシウムシグナルなど細胞内の様々なシグナルを制御するホスホリパーゼC(PLC)εを一次線毛退縮因子として同定した。本研究では一次線毛退縮におけるPLCεの機能解明を中心として、増殖因子による一次線毛退縮機構の全容解明を目指した。 RPE1細胞おいて血清中のリゾフォスファチジン酸(LPA)が一次線毛退縮に関わるシグナル分子であることが最近報告された(Hu et al., 2021)。そこで、LPA刺激における一次線毛退縮にPLCεが関与しているかについて検討し、PLCεのKDによってLPAによる一次線毛退縮が阻害されることが分かった。さらに、細胞内Ca2+のライブイメージングによって、PLCεは、FBSやLPA添加後のCa2+オシレーションに機能することを見出した。さらに、AktやErkのリン酸化解析より、PLCεはこれらの持続的な活性化に重要であることが示唆された。一方で、カルシウムイオノフォアのみで一次線毛が退縮することから、AktやErkなどの増殖シグナルではなく、Ca2+オシレーションによる持続的なカルシウムシグナルが一次線毛退縮には重要であると考えらえた。 LPAからPLCεを繋ぐ分子として三量体Gタンパク質のβγ複合体、およびRhoAの関与について、それぞれの阻害剤(Gallein, Rho inhibitor)を用いて検討したが、何れも一次線毛退縮は阻害されなかった。
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Research Products
(2 results)