2020 Fiscal Year Research-status Report
Segmental breaking of axial skeletal muscle in the chicken embryo
Project/Area Number |
20K16110
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
磯部 茉莉 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60850758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋発生 / 体軸骨格筋形成 / ニワトリ胚 / 胚発生 / myoseptum |
Outline of Annual Research Achievements |
魚からヒトに至る脊椎動物の体軸骨格筋は、分節性に区切れた体節から筋芽細胞が分化し、体節の分節性が崩壊するとともに隣り合った体節由来の筋細胞が融合することで形成される。現在までに体節が分節状に形成されるメカニズムは明らかになっているが、どのように崩壊していくかは分かっていない。本研究では、体軸骨格筋形成過程における分節性崩壊の形態変化を明らかにし、さらにその分子基盤の解明を目指している。 ニワトリ胚におけるmyoseptum形成、消失過程を形態学的に解析し、myoseptum形成過程のおよその時期は特定できている。そこで、筋分化マーカー(MyoD, Myog)と比較し経時的に体節の形成過程を示すこととした。しかし、ニワトリ胚で使用できる筋分化マーカーに対する良い抗体が市販されていないため、これらの抗原を作成し特異抗体を得ることを目指している。 また、myoseptum消失を簡便に検出するために、検出システムの作製も行った。発光酵素であるルシフェラーゼを、融合すると発光活性を持つ2つの断片HiBiT、LgBiTに分割し(NanoLucルシフェラーゼ、Promega社)、それぞれを蛍光タンパク質と融合したキメラ蛋白質を発現するプラスミドを作製した。これらを隣り合った体節に導入することでmyoseptum消失を間接的に検出できる。ニワトリ胚(HH stage7-8)の予定体節領域に作製したプラスミドを遺伝子導入し、検出系を確立した。今後はこの検出系を用いてmyoseptum消失に関する遺伝子探索を行っていくとともに、より簡便に検出できる方法を引き続き検討していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニワトリ胚で検出可能な筋分化マーカーの抗体作製に取り組んだ先行研究がほとんどなく、抗原となる蛋白質精製に時間がかかり、当初の予定よりも遅延が生じている。精度が高く組織染色にも使用できる抗体を得るために全長遺伝子での抗体作製を目指していたが、精製過程での蛋白質変性が頻発したため、ベクターや大腸菌株の種類を数種類試したが精製に至らなかった。また、myoseptum消失検出系の作製についても体節特異的に遺伝子導入する方法の習得に難航していた。しかしながら、抗体作製においては遺伝子の領域を減らすことにし、検出系に関しても別の遺伝子導入方法に変更したため、研究計画全体としては今後の進展が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
検出系の確立と同時進行で、先に観察できているmyoseptum出現時期を中心に発生ステージ別の形態学的解析を引き続き実施する。筋分化マーカーの抗体作製については遺伝子全長では蛋白質の精製が難しかったため、遺伝子の一部の領域で行うことで精製過程はクリアできると考えている。これらによりmyoseptum形成、消失過程を形態学的に明らかにすることができると考えられる。 myoseptum検出系は蛍光検出でライブイメージングする手法も検討している。これは当初の予定外の手法であるが、ルシフェラーゼを用いた発光検出系は遺伝子スクリーニングに適した系であり、形態学的解析においては蛍光検出の方が適している。ライブイメージングを用いてより詳細な形態変化を観察するために蛍光検出系の確立も必要である。
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Causes of Carryover |
予定よりも研究進行状況に変更があり、予定していた試薬を購入しなかったため。 次年度使用額は早急に予定していた試薬を購入する費用に充てることとする。
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