2020 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質パルブアルブミン発現細胞ネットワークの結合則
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20K16112
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡本 和樹 順天堂大学, 医学部, 学振特別研究員(PD) (90865205)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シナプス結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス回路構造の解明は脳研究を進めるうえで基礎的かつ重要な課題である。脳回路を構成する神経細胞の一部はGABA作動性細胞であり、回路の抑制を担っている。シナプス結合の測定には形態学と生理学の双方からのアプローチが要求されるが、GABAを介した抑制性シナプスの場合、多くのシグナルが樹状突起上を減衰し、細胞体まで伝わりにくい性質があり、生理的に測定できる範囲に限界がある。それゆえに未解明な部分も多い。 本研究は、形態学手法と生理学手法を組み合わせ、軸索形態の「てがかり」からGABA細胞、特にパルブアルブミン発現細胞(PV細胞)の生理的結合を予測できるモデルを構築することを目的としている。生理測定で得られたシナプス入力を形態的なシナプス位置に基づいて解析することで、減衰する前のシナプス強度を算出することを目指す。また、シナプスが形成されていなかったPV細胞ペアの軸索と樹状突起の重なりについても解析を行うことで、見落とされてきた結合形成のパターンを抽出する。 本研究の第一段階として、本年度はPV細胞が緑色蛍光タンパク質で標識されたPV-FGLトランスジェニックマウスを用いて、PV細胞からの同時標的パッチクランプ記録を進めた。いくつかの記録ペアにおいて、抑制性のシナプス伝達を検出できており、測定条件が正しいことを示せている。その後、パッチクランプ記録をしたPV細胞の形態を再構築し、軸索の形態を観察するに至っている。次年度もこの解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りPV細胞の同時パッチクランプ記録によりデータの収集を進め、いくつかの細胞ペアから抑制性シナプスの応答を検出できている。本研究の第二段階に必要なjuxtacellular記録の装置の立ち上げも完了しており、次年度からデータ取得できる体制にある。
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Strategy for Future Research Activity |
juxtacellular記録については、本年度は装置の立ち上げにとどまり、実際のデータ取得までは至らなかった。今後はjuxtacellular記録による単一細胞軸索形態の標識を進める。これと並行してSplit-TurboID法の導入を進めており、PV細胞間のシナプスのみをビオチン標識できるようになる見込みがある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、出張費として使用する予定だった予算を使用しなかった。この予算は次年度の実験遂行に必要な消耗品購入に用いる。
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Research Products
(2 results)