2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K16113
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
折井 みなみ 昭和大学, 医学部, ポストドクター (60792645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | もやもや病 / ミステリン / RNF213 / 脂肪滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
もやもや病は日本を初めとする東アジア圏の子どもに多く見られる原因不明の難治性脳血管疾患である。大脳への主要な血液供給路である内頸動脈終末部の狭窄・閉塞により深刻な脳虚血・脳梗塞を生じる。また慢性的な脳虚血状態を解消するために側副血行路として脆い新生毛細血管網が誘導され(もやもや血管)、これが成人以後の脳出血の原因となる。狭窄は主に頭蓋内の内頚動脈終末部周辺において認められ、全身のその他の血管には明瞭な異常を認めない。 もやもや病の原因遺伝子産物であるミステリン(別名RNF213、ALO17)は運動性のATPアーゼ活性とタンパク質ユビキチン化活性を持つ巨大な細胞内タンパク質であり、細胞内の脂質貯蔵場所である脂肪滴に局在して2つの酵素活性依存的に脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL)の挙動を制御することで、脂肪滴の質・量制御に関わる。加えて今年度までの解析によりミステリンがさらに広汎な脂肪滴タンパク質サブセットの挙動を制御することで、脂肪滴のより広汎な質・量制御および脂肪滴のヘテロ性に関わることを明らかにした。さらに、ミステリンのこのような機能がもやもや病患者変異により著明に障害され、そのため特異な細胞障害が生じることを見出した。現在、この細胞障害を生み出す分子メカニズムについて詳しい解明を進めていると共に、主に培養細胞を用いて得られた結果を元にマウスを用いた組織・個体解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞・個体レベルでの解析を予定通り進めた。他研究者による協力も得られ、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞・個体レベルでのミステリン機能解明を推進していく予定である。もやもや病発症メカニズムの解明を進めるとともに、これを基盤とした治療法探索を開始したい。
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Causes of Carryover |
半導体供給不足のため購入予定機器の納期が見通せなかったため。 次年度に物品費として使用する。
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