2020 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア-エンドソーム間相互作用によるエンドソーム成熟化メカニズムの解明
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20K16115
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 絢 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (90854662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / エンドサイトーシス / 蛍光イメージング / オルガネラゾーン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまでに、ミトコンドリアとエンドソームの相互作用がエンドソームの成熟化を促進すること、およびこの現象にはミトコンドリアポアタンパク質であるVDAC2が必要であるという予備データを得ている。しかし、VDAC2がどのようにして二つのオルガネラの相互作用を制御し、エンドソームの成熟化を促進するのか、その分子メカニズムは未知である。そこで本研究は、VDAC2を介したミトコンドリア-エンドソーム間相互作用によるエンドソーム成熟化促進の分子メカニズムの解明を目的とした。VDAC2の物質透過性減少変異体 (VDAC2 K72E, K19E) を作製し、この変異体を用いてエンドソームの成熟化を評価した。その結果、VDAC2 K72E, K19Eの過剰発現は野生型VDAC2過剰発現と比較してエンドソーム成熟化が促進されなかった。このことから、VDAC2の物質透過性がエンドソーム成熟化促進に一部寄与することが明らかになった。ミトコンドリア-エンドソーム間相互作用によりミトコンドリアからATPがエンドソームに供給されるかについては、今後二視野同時観察可能な顕微鏡を用いてATPセンサーおよびエンドソームを撮影し、画像解析して検証する予定である。申請者らはこれらの成果を論文にまとめて投稿した。また、bioRxivに論文を掲載した (doi: https://doi.org/10.1101/2021.01.18.427063)。現在、査読者からのコメントに対する実験をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VDAC2の物質透過性がエンドソーム成熟化促進メカニズムに関与することが明らかにできたため。また、本研究内容の論文を投稿し、revisionの段階まで進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は論文受理に向けた実験に取り組んでいく。また、ミトコンドリア-エンドソーム間相互作用によるエンドソーム成熟化促進において、ミトコンドリアとエンドソームの間でやりとりされる物質を明らかするため、各種イオンセンサーでミトコンドリアまたはエンドソームのイオンを可視化し、二視野同時観察可能な顕微鏡を用いてライブイメージングする予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、当初の予定より消耗品の支出が少なくなったため。また、学会参加のための旅費の支出がなくなったため。
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