2021 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動異常症にかかわるグリシン作動性神経回路の解明
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20K16117
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本堂 茉莉 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (70639195)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レム睡眠行動異常症(RBD) / グリシン |
Outline of Annual Research Achievements |
急速眼球運動(REM)睡眠時、脳は覚醒状態に似た活動を示すが、骨格筋の緊張が著しく低下するため、身体はほとんど動かなくなる。これをREM atonia(レム脱力)と呼ぶ。REM atoniaの発現には、大脳皮質と体性運動ニューロンを繋ぐ神経ネットワークによる運動制御が必要不可欠である。REM atonia機構が障害されると、レム睡眠中に夢の内容に関連した身体活動の異常が生じる。この症状はパラソムニアの一つである、レム睡眠時行動障害(RBD)と呼ばれる。RBDは後にパーキンソン病などのαシヌクレイン疾患を発症する確率が高いことから近年注目されている。しかし、RBDの正確な発症部位は疎か、レム睡眠時における筋弛緩の神経メカニズムも未だに明らかになっていない。本研究計画では、この点を明らかにするために、我々が作製した新規のRBD症状を示す条件付きグリシン受容体欠損マウスを利用した解析結果を基に、グリシンニューロンを中心とした責任部位の同定、神経回路の抽出を行う。我々はこれまでに、レム断眠を行い、レム睡眠欲求が高まったマウス脳を用いて、神経細胞活性の指標であるcfos抗体を用い、グリシンニューロンにおける活性化領域について検討を行ったところ、レム睡眠制御および運動ニューロンに出力するいくつかの領域においてcfos活性の変化を見出した。今後は、関連するグリシンニューロンの活動の操作を行うことにより、グリシンニューロンとレム睡眠中の筋弛緩との因果関係を解いていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実験実施者の子が2020年4月~6月まで保育園に通園できなかったため、実施計画を延期せざるを得なくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、どの領域のグリシンニューロンがレム睡眠時に活動するのかについて検討を行うため、レム断眠直後のレム睡眠に入眠したマウス脳を固定・摘出し、神経細胞活性の指標であるc-fos抗体を用いて、活性化ニューロン数の変化を脳全体でスクリーニングを行ったところ、レム睡眠の制御に関わるいくつかの脳領域においてc-fos活性の変化を見出した。また、AAV・実験装置等の実験準備を行った。次年度は、引続き、同定したグリシン前運動ニューロンにAAV-FLEX-Jaws-tdTomatoあるいはAAV-FLEX-ArchT-tdTomatoを発現させ、そこからRBDに関わるコリン作動性運動ニューロンへ投射する軸索に対して光抑制を与える。これにより投射先特異的な情報伝達の遮断が可能となる。また光による制御のためレム睡眠時のみの抑制も可能であり、RBDの再現の確認を行う。
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Causes of Carryover |
本研究は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実験実施者の子が2020年4月~6月まで保育園に通園できなかったため、実施計画を延期せざるを得なくなった。 実施計画を延期した計画分は、次年度行う。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] Orexin receptor antagonists ameliorate the symptoms of REM sleep behavior disorder in a novel mouse model and in human patients2022
Author(s)
Mari Hondo, Takuro Endo, Ayako Mochizuki, Masanori Dantsuji, Takeshi Kanda, Makito Sato, Fusae Kawana, Yukiko Ishikawa, Kazue Suenaga, Shiro Nakamura, Manabu Abe, Tomio Inoue, Kenji Sakimura, Hiromasa Funato, Takeshi Sakurai, Masashi Yanagisawa
Organizer
第99回日本生理学会大会:JST-CREST "Opt Bio" / WPI-IIIS Joint Symposium
Int'l Joint Research