2022 Fiscal Year Research-status Report
レム睡眠行動異常症にかかわるグリシン作動性神経回路の解明
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20K16117
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本堂 茉莉 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特別研究員(RPD) (70639195)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レム睡眠行動障害(RBD) / グリシン / 運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物の睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠に分けられている。通常、レム睡眠中は骨格筋の筋緊張が消失し、夢の内容に伴った動きができないようになっているが、RBD患者においてはレム睡眠中に大声で叫んだり、何かを殴るような素振りをしたりと、夢に影響された行動を示す。興味深いことに、RBDは神経変性疾患の初期症状であることが近年明らかとなってきた。しかし、RBDの正確な発症部位は疎か、レム睡眠時における筋弛緩の神経メカニズムも未だに明らかになっていない。この点を明らかにするために、我々が作成した新規のRBDモデルマウスをもとに、RBD発症にかかわる神経ネットワークに焦点を当てる。当該年度は、過去の文献で同定されている、コリン作動性運動ニューロンに投射するいくつかのグリシンニューロンを発現する領域のうち、どの領域のグリシンニューロンがレム睡眠時に活動するのかを検討するため、レム睡眠断眠直後のレム睡眠に入眠したマウス脳を固定・摘出し、神経細胞活性の指標であるc-fos抗体を用いて、レム睡眠制御および運動ニューロンに出力するいくつかの領域においてc-fos活性の変化を見出した。しかし、同定した領域は既存の制御領域と変化がなかったため、実験計画の変更が求められた。そこで、我々が作成した新規のRBDモデルマウスの覚醒時の運動に異常が観察されており、RBDが神経変性疾患と深い関連性があることから、詳細な表現系の解析を行った。歩行運動、協調運動、握力試験を行ったところ、コントロールと比較して全ての試験において有意に筋力が低下していることが明らかとなった。これらの結果から、RBDも含め、モデルマウスでは神経変性疾患患者と類似した運動異常が見られることから、コリン作動性運動ニューロンに入力するグリシンニューロンを介した神経回路が神経変性疾患の運動異常の発現に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が令和4年10月より所属機関を変更し、論文の研究協力者も所属機関を変更したため、研究に遅れが生じた。当該研究の論文投稿を行ったが、より詳細な解析結果を求められたため、現在再解析・追加の解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
レム睡眠論文投稿のための追加実験および再解析は順調に進んでいるが、研究代表者および論文の実験に協力している研究者の所属機関が移動したため、追加の解析に時間を要している。解析が終了次第、論文の再投稿を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者が令和4年10月より所属機関を変更し、論文の研究協力者も所属機関を変更したため、研究に遅れが生じた。現在当該研究の論文を投稿中であり、次年度経費は主に論文の掲載料に充てる予定である。
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