2020 Fiscal Year Annual Research Report
網膜ミクログリアの貪食能評価系の構築と新規網膜疾患予防・治療戦略確立への応用
Project/Area Number |
20K16122
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浅野 大樹 北里大学, 薬学部, 助教 (90821918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 網膜 / 血管 / グリア / 神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜の恒常性は、神経、グリア及び血管が情報交換(神経-グリア-血管連関)することにより維持されている。従って、糖尿病網膜症等の網膜疾患の発症と進行を抑制するためには、神経-グリア-血管連関の相互作用を正常化することが重要である。これまでに申請者は、ラットにN-methyl-D-asparticacid(NMDA)の硝子体内投与を行うと視神経節細胞の脱落に遅れて網膜毛細血管が退縮すること、そして視神経節細胞の脱落は網膜広範で一様であるのに対し、網膜血管は血管の種類(動脈/静脈/毛細血管)によって異なる退縮様式を示すことを見出してきた。本知見は、糖尿病時において、網膜血管が一様に高血糖にさらされているにもかかわらず、一部の血管が閉塞・障害される現象に類似しているが、その機序は不明なままである。また申請者は、これまでの研究において、神経細胞が障害されるとミクログリアが血管障害に関与する可能性を見出している。ミクログリアは障害/保護の2面性を示すことから、障害された網膜において、高い貪食能をもち炎症性に働くミクログリアが集積する領域の血管が障害されやすい可能性がある。そこで、神経が障害された網膜におけるミクログリアの貪食能と血管障害部位との関連を明らかにすることを目的として、ミクログリアと血管の分布について検討した。その結果、NMDA投与6時間後から48時間にかけて網膜内に活性化したIba1陽性ミクログリアが豊富に存在していること、CD45陽性白血球は静脈から網膜内へ遊走・浸潤したのち網膜内に広く分布することが示された。本結果は、視神経節細胞が障害された網膜において、活性化したミクログリアを含む炎症細胞が静脈周辺の毛細血管障害に寄与する可能性を示唆したものであるが、活性化したミクログリアのin vivo状態での貪食能と血管障害部位との関連について、更なる研究が必要である。
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