2020 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム遺伝子の発現調節機構に着目した新規パーキンソン病治療標的分子の探索
Project/Area Number |
20K16135
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宮良 政嗣 岐阜薬科大学, 薬学部, 研究員 (60816346)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / MPTP/MPP+ / オートファジー / リソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞において低濃度パーキンソン病(Parkinson's disease: PD)関連化学物質がリソソーム遺伝子発現低下およびオートファジー機能低下を引き起こすことを明らかにしてきた。本研究では、PDモデル動物のドパミン神経細胞においてもリソソーム遺伝子発現低下が認められるか否かを検証するとともに、その分子メカニズムを明らかにし、新規PD治療標的候補分子の特定につなげることを目的とした。 本年度は、「PDモデル動物におけるリソソーム遺伝子発現低下の検証」に向けて、MPTP/probenecid慢性投与によるPDモデルマウスの作製を試みた。8週齢のC57BL/6J雄マウスに20 mg/kg MPTPおよび250 mg/kg probenecidを週2回腹腔内投与し、9週間投与後のマウスを用いて免疫組織化学染色を行ったところ、中脳黒質におけるドパミン神経細胞数の減少傾向が認められた。一方、ロータロッド試験において顕著な運動機能の低下は認められなかったことから、本PDモデルマウスは、PDの初期段階におけるドパミン神経細胞内変化の解析に有用なモデルである可能性が考えられる。 また、本年度は、SH-SY5Y細胞を用いて「リソソーム遺伝子発現低下の分子メカニズム解明」にも取り組んだ。低濃度PD関連化学物質(5および50 nM ロテノン)は、リソソーム遺伝子の転写因子TFEBの核移行(活性化)をむしろ促進したことから、TFEBの核移行阻害とは異なるメカニズムでリソソーム遺伝子発現低下を引き起こすことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDモデルマウスの作製および解析に必要な実験系をある程度構築することができたため。また、リソソーム遺伝子発現低下の分子メカニズムについても絞り込むことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
MPTP/probenecid慢性投与により作製されるPDモデルマウスの中脳組織切片からドパミン神経細胞のみをレーザーマイクロダイセクション法により分離し、リソソーム遺伝子発現量の変化をRT-qPCR法などにより明らかにする。また、TFEBとリソソーム遺伝子との結合や他の転写因子にも着目し、リソソーム遺伝子発現低下の分子メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
MPTP/probenecid慢性投与によるPDモデルマウスの作製とその解析に関する実験系の構築に予想以上の時間を費やし、PDモデルマウスのドパミン神経細胞におけるリソソーム遺伝子発現量の解析を行うことができなかったため。当該助成金は、翌年度分と合わせて、リソソーム遺伝子発現量の解析とその分子メカニズム解明に関する実験に使用する。
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