2020 Fiscal Year Research-status Report
ゴルジ体の構造変化に着目した細胞老化現象へのアプローチ
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20K16145
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
衛藤 貫 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(SPD・PD・RPD) (50867207)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞老化 / ゴルジ体 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化細胞は、炎症誘発性サイトカインを産生・分泌することで、周囲の細胞の老化を誘導する。分泌装置であるゴルジ体は、老化依存的な分泌現象においても必須の役割を担うが、細胞老化に伴ってその構造が大きく変化することが報告されている。しかしながら、老化細胞においてゴルジ体の構造変化が引き起こされる分子機構や生理的意義は、全くと言っていいほど不明である。そこで、老化細胞におけるゴルジ体の構造・機能変化に必須の分子を同定し、ゴルジ体の構造変化と老化現象の関係性を明らかにすることを目的に研究を行う。 本研究では、細胞老化におけるゴルジ体の断片化は、細胞老化依存的な分泌現象を制御するために存在すると仮説を立て、「老化細胞においてゴルジ体の断片化を引き起こす分子及びその分子機構の同定」と「細胞レベル及び個体レベルにおける老化現象とゴルジ体の断片化の関係性の解明」を目指す。 今年度は、細胞周期の停止とゴルジ体の関係性をを検証した。その結果、不可逆的な細胞周期の停止と老化誘導刺激の2つがそろった時のみゴルジ体の断片化が観察された。次に、「正常細胞」、「可逆的に細胞周期が停止した細胞」、「老化細胞」、「Rb及びp53欠損した後に老化誘導した細胞」、「老化誘導した後にRb及びp53欠損した細胞」の5種類の細胞に関してRNA-seqを実施し、全遺伝子レベルでmRNA量を比較解析した。その結果として、ゴルジ体の断片化に付随するトランスクリプトームを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
細胞老化に付随するゴルジ体の断片化と細胞周期停止の関係性を明らかにすることに成功した。また、細胞周期の停止に依存して、老化誘導刺激に対するゴルジ体の挙動が変化することが明らかとなった。また、老化細胞におけるゴルジ体の断片化に関与する分子を同定するために、RNA-seqを実施した。複数の老化条件の細胞を比較解析することで、ゴルジ体の断片化に付随するトランスクリプトームを明らかにした。今後は、siRNAを用いたRNAiスクリーニングにより、ゴルジ体の構造変化に関与する分子を絞り込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化に付随するゴルジ体の断片化に関わる分子を同定する。具体的には、トランスクリプトーム解析より得られた候補分子に対するsiRNAライブラリを作製し、イメージングをベースとしたハイスループットスクリーニングを実施する。次に、RNAiによりゴルジ体の断片化が抑制された分子に関して、細胞老化の指標であるp16の発現や細胞老化に付随する分泌現象に対する影響を評価する。
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Research Products
(1 results)