2022 Fiscal Year Research-status Report
PPARαによる炎症性エクソソーム制御を介した抗炎症作用の分子基盤解析
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20K16152
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷貝 知樹 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任講師 (50868669)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PPARa |
Outline of Annual Research Achievements |
PPARaによるエクソソーム分泌遺伝子の制御メカニズムについて解析を行なった。 2022年度は当初の予定通りアデノ随伴ウイルスベクターを大量作成することに成功し、マウスNAFLD/NASHモデルに投与・解析することができた。標的遺伝子を肝臓内でノックダウンした結果、炎症性サイトカインの発現量が有意に減少することが分かった。このことは、当初の研究計画の予想通り、PPARaによるNASH炎症は解析対象遺伝子によって制御されていることが示唆した。 さらにマウス肝細胞株を用いて当該遺伝子の発現制御領域のノックアウト細胞株を樹立することにも成功した。ノックアウト細胞株での当該遺伝子発現量を解析すると、PPARaを活性化させても発現が抑制されないことが明らかとなった。このことは当初の予想通り、PPARaがエンハンサー活性に直接的に介入することで標的遺伝子の発現活性を抑制していることを示している。 上記の研究の進捗に加えて、本年度は査読付き国際英文科学誌に筆頭・責任著者として総説を掲載することが出来た(Yagai et al., Frontiers in Medicine, 2022)。これまでの研究においてPPARaによって発現が抑制される遺伝子については十分な研究がされておらず、不明な点が多かったことから情報を集めるのも苦労があったが、本総説に先行研究をまとめて記載することで、後続の研究者がPPARaによる発現抑制メカニズムの研究にスムーズに取り掛かれるようになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的としていたアデノ随伴ウイルスの大量作成が完了した。また標的遺伝子の発現制御領域のノックアウト細胞株および遺伝子改変マウスの作成に成功した。本研究計画の核となるバイオリソースが一通り揃った上、初期の表現型解析も完了している。 さらに本年度は査読付き国際英文科学誌に論文も掲載した
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては作成が完了したバイオリソースを使った詳細な表現型解析が主体となる。ただし初期データの結果から、病態に関わるのは当初想定していたエクソソームではない可能性が高いことから、今後は代謝物の生理活性に焦点を当て解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
武田医学研究助成や小野医学研究助成といった民間の助成金を受給したため、そちらを優先的に使用し、若手研究は次年度で使用することとした。
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