2021 Fiscal Year Annual Research Report
老化細胞と加齢性疾患の相互関係の理解と老化細胞除去法への展開
Project/Area Number |
20K16156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
脇田 将裕 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (70794668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞老化 / セノリティックドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究期間までにT-JFCR-6による老化細胞の細胞死誘導メカニズムとして、DNA障害およびオートファジー関連遺伝子の発現上昇の関与を明らかにしてきた。そこで本期間では、オートファジーによる細胞死誘導機構の解明を通じて、T-JFCR-6による老化細胞除去メカニズムの完全な理解へとつなげることを目指した。老化細胞にT-JFCR-6を処理すると、老化細胞内にオートファゴソームマーカーであるLC3Bの蓄積が観察されるため、オートファジーの誘導が確認できた。一方で、このLC3Bは時間が経過しても蓄積したままであったことから、老化細胞ではオートファゴソームの分解機構が正常に機能していない可能性が明らかとなってきた。一般的にオートファジーは不要となったオルガネラや損傷したミトコンドリアをアミノ酸まで分解し、それを再利用する機構として知られているが、T-JFCR-6処理後の老化細胞では損傷ミトコンドリアの蓄積が免疫染色や電子顕微鏡観察から確認され、活性酸素種(ROS)の産生が増加していることがわかってきた。ROSスカベンジャーであるN-acetylcysteineを添加すると、T-JFCR-6による細胞死に一定の抑制効果を示すことから、ROS濃度の上昇がT-JFCR-6による細胞死の誘導に関与している可能性を見出した。さらに、今回明らかにした損傷ミトコンドリアの蓄積に伴うROS依存的な細胞死誘導のメカニズムは、いくつかの既報のセノリティックドラッグにおいても確認できることが新たにわかってきた。つまり、既報のセノリティックドラッグは、実は共通の分子メカニズムを介して老化細胞を優先的に死滅させていることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)