2022 Fiscal Year Research-status Report
プロテオミクスで探るCEP290変異が関与する繊毛病の病態メカニズム
Project/Area Number |
20K16157
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋本 寛 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30815577)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 繊毛病 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
一次繊毛は細胞内においてアンテナ様構造をした細胞内小器官であり、その機能の破綻はシグナル伝達の不全などに伴い、生体においては脳の変性、嚢胞腎、肥満など様々な症状をきたす。CEP290は一次繊毛のTransition zoneに局在するタンパク質であり、その変異はやはり小脳や脳幹の萎縮、網膜色素変性や、嚢胞腎など全身性に多様な表現型を示す繊毛病発症の原因として知られている。iPS細胞におけるノックアウト細胞の樹立を目的として、CEP290を始めとする一次繊毛のTransition zoneに局在する遺伝子に対して、CRISPR-Cas9システムを用いたノックアウトを行った。前回までに、CEP290遺伝子において、HeterogenousなノックアウトiPSしか樹立できていなかったが、ガイドRNAの位置を変え、エレクトロポレーションによるCRISPR-Cas9の導入と、導入された細胞のFACSによるセルソートを行った。これによりCEP290を始めとするTransition zoneに局在する遺伝子のHomogenousなノックアウトに成功した。加えて、同一遺伝子に対して複数のノックアウトクローンの樹立ができた。ノックアウトクローンはサンガーシークエンスとイムノブロッティングにより確認を行った。次に、これらノックアウトされた遺伝子のiPS細胞を用いてオルガノイドの作成を行った。その結果、野生型iPS細胞とCEP290ノックアウトiPS細胞から誘導したオルガノイドの作成に成功した。今後は、免疫染色による表現系の違いの確認と、このオルガノイドを用いてRNA-seqを行うことで、機能に寄与する変化があるかどうかを網羅的に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ノックアウトiPSの樹立とオルガノイドの樹立には成功したが、網羅的解析を行うことで機能に寄与する変化があるかどうかを見る必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウトiPSから樹立したオルガノイドを用いてRNA-seqを行い、疾患に寄与する変化が認められるか調べる。また、オルガノイドの表現型解析も並行して行う。
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Causes of Carryover |
学会等に行く機会がなかったことに加え、オルガノイド作成における関連消耗品が必要となるため。
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