2021 Fiscal Year Research-status Report
グロボ系糖脂質の新たな発現誘導機構の解明と腎症への関与
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20K16159
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
新田 昂大 東北医科薬科大学, 薬学部, ポスト・ドクター (30847976)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レプチン / スフィンゴ糖脂質 / 糖尿病性腎症 / 1型/2型糖尿病 / Globoside / Glycosphingolipids / Gal2Cer / Galabiosylceramide |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖尿病性腎症におけるレプチンのスフィンゴ糖脂質発現誘導を介した病態形成メカニズムの解明することを目的としている。昨年度から引き続きLepr-floxed mice×Pax8-Cre miceをかけ合わせることで、腎特異的レプチン受容体マウスを作製し、腎臓におけるレプチンシグナリングが糖脂質発現に影響を与えることで、糖尿病性腎症病態形成に関与するかどうか検証を行った。その結果、腎臓特異的なレプチン受容体欠損マウスでは、スフィンゴ糖脂質発現が変化しないことが明らかとなった。しかし、全身性のレプチン(受容体)欠損マウス(ob/ob, db/dbマウス)では、腎臓の糖脂質発現が顕著に変化していたことを考慮すると、レプチンは間接的に腎臓の糖脂質発現に影響を与えている可能性が示唆された。 また、本年度は、レプチン(受容体)欠損マウスならびにAkitaマウスやストレプトゾトシン誘導性糖尿病マウスなどのインスリン欠損マウスにおいて、グロボ系糖脂質の発現が減少することに加え、Gal2Cerという特徴的な糖脂質の発現が増加していることを見出した。Gal2Cer検出のために利用できる抗体は、現状ないことから、糖鎖の検出に用いられるLectinを使用することで、これを達成した。Gal2Cerに関しては、グロボ系糖脂質と同様に、炎症反応における生理活性評価を行い、Toll-like receptor 4 (TLR4) signalingを劇的に促進させることも明らかにしている。遺伝子発現解析の結果、マクロファージの浸潤が確認されたことから、腎臓の腎実質細胞で増加したGal2Cerが、浸潤したマクロファージのTLR4に作用することで炎症反応などの増悪に寄与していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レプチンは間接的に腎臓に作用することで、腎臓の糖脂質発現に関与していることを明らかにした。 これまでに、レプチンあるいはインスリンシグナリング欠損マウスで、グロボ系スフィンゴ糖脂質の発現が顕著に減少することは分かっていたが、新たにGal2Cerという特徴的な糖脂質発現の増加が同時に生じていることを明らかにした。 このGal2Cerという糖脂質は、TLR4の signalingを促進する活性を持つことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
Gal2Cerの生理活性について、詳細なメカニズム解析を各種阻害剤やKD/KOを用いて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスやウクライナ情勢による物品の購入が滞りが生じたため、次年度使用額が生じた。代替品などを探し購入可能なものに変更あるいは変更不可能な物品に関しては、ある程度時間を要してでも到着を待ってから、実験を遂行していく。
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