2020 Fiscal Year Research-status Report
血管内大細胞型B細胞性リンパ腫における糖鎖構造の解析
Project/Area Number |
20K16165
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松岡 亮太 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70833804)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管内リンパ腫 / 糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内大細胞型B細胞性リンパ腫 (Intravascular large B-cell lymphoma, IVLBCL)は節外性リンパ腫の一型である。他のリンパ腫とは異なり腫瘤形成性に乏しく、血管内にのみ腫瘍細胞が存在するという特徴を有する。IVLBCLは腫瘤を形成しないため組織による確定診断が難しく、かつ予後の悪い腫瘍である。 我々はIVLBCLの腫瘍細胞が血管内にとどまる理由がその細胞膜上の糖鎖構造の変化が原因ではないかという仮説を立て、IVLBCL腫瘍細胞上の糖鎖構造の変化を解析することにより、IVLBCLが血管外へ遊走できない機構を明らかにしたいと考えている。さらに本研究でIVLBCLと血管との相互関係が解明できればIVLBCLの「腫瘍細胞が血管外へ出ない」特徴と相対する、癌の転移の「腫瘍細胞が血管外へ脱出する」メカニズムを糖鎖を介して解明するヒントも得られるのではないかと考えている。 まず我々は症例サンプルとしてIVLBCL6例と、同じ免疫形質を有するも腫瘤を形成するびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫 (Diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)15例を選定した。それぞれの症例のFFPE切片からレーザーマイクロダイセクション法で腫瘍部を単離し、糖タンパクを抽出した。その後にレクチンアレイ法でそれぞれの腫瘍の糖鎖プロファイルを解析した。その結果、IVLBCLで有意に高いレクチンを3種類、DLBCLで有意に高い有レクチンを2種類見出すことができた。次に有意差のあったレクチンを用い、IVLBCL18例、DLBCL15例に対してレクチン染色を行った。現在2種類について染色が終了したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、症例の選定およびレクチンアレイまでは問題なく終了している。 令和2年度の目標はレクチンアレイで有意差のあったレクチンについての染色及びスコアリングを済ませ、さらにはそのレクチンを軸にIVLBCLで特異的に発現している糖タンパクの解析まで行うはずであった。しかしながらレクチン染色の条件検討に時間がかかり、研究にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来手染めであったレクチン染色を自動免疫染色機で染色する方法を見出すことができたので、やや遅れていたレクチン染色は今後速やかに終了することができると考えている。さらに症例の選定はすでに終了しているためレクチン染色でも有意差のあったレクチンをプローブにし、レクチンキャッチ (免疫沈降の原理と同様で、抗体の代わりにレクチンを用いる)を行い、糖タンパクの解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
レクチン染色の検討に時間を要し、本来行うはずであった糖タンパクの解析に必要な経費がかからなかったため。これら前年度に行えなかった解析は次年度にすべて行う予定である。
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