2020 Fiscal Year Research-status Report
様々な分化方向を示す腫瘍の臨床病理分子学的特徴の解明
Project/Area Number |
20K16167
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牧瀬 尚大 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70815373)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肉腫 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
①分類不能の縦隔腫瘍2例において、次世代シーケンサーを用いてRREB1-MRTFB融合遺伝子を同定した。免疫染色ではS100, GFAP, SMAなどが陽性となり、神経や筋など複数方向への分化が窺われる腫瘍であった。舌に発生する外胚葉間葉性軟骨粘液様腫瘍と同一の融合遺伝子であり、それとの異同について考察した。この内容を論文と学会で発表した。 ②前立腺発生のDICER1変異腫瘍の世界初の症例を報告した。DICER1変異腫瘍は、しばしば横紋筋、軟骨、骨、上皮など複数の分化を示すことが知られている。本症例は横紋筋への分化を示しており、胎児型横紋筋肉腫と診断されていた。本症例を横紋筋肉腫と分類すべきか、DICER1関連肉腫と分類すべきか、考察を行った。 ③増殖性筋膜炎/筋炎の複数例においてFOS遺伝子の再構成を同定した。うち1例では次世代シーケンサーを用いてFOS-VIM融合遺伝子を同定した。増殖性筋膜炎/筋炎は元来反応性病変と考えられていた。また、構成細胞については、線維芽細胞、筋線維芽細胞、骨芽細胞、組織球などが候補とされていたが不明であった。今回我々は増殖性筋膜炎/筋炎が腫瘍性病変であることを証明した。 ④そのほか、リン酸塩尿性間葉系腫瘍の浸潤性について臨床病理放射線像を対比させて検討した報告、類上皮血管内皮腫の簡便なリスク分類を提唱した報告、多発脊索腫において遺伝子解析を行い多中心発生ではなく多発転移であることを証明した症例報告、を共著で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①RREB1-MRTFB融合遺伝子を有するような、神経や筋への分化が窺われる縦隔腫瘍を2例報告した。 ②前立腺発生のDICER1変異腫瘍の世界初の症例を報告した。この症例は横紋筋への分化を示していた。 ③増殖性筋膜炎/筋炎の複数例においてFOS遺伝子の再構成を同定した。うち1例では次世代シーケンサーを用いてFOS-VIM融合遺伝子を同定した。増殖性筋膜炎/筋炎が腫瘍性病変であることを証明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
分類不能、あるいは非典型的な臨床病理像を示す腫瘍において、 新規の遺伝子変異/融合遺伝子の発見を試みる。新規遺伝子異常を見出した場合は代理となる免疫染色マーカーの開発を試みる。 また、引き続きH3K27me3消失腫瘍の発見を試みる。
|
Causes of Carryover |
今年度はコロナウイルスの影響もあり、学会が中止、オンライン開催となったため、旅費を使用しなかった。 次年度は物品費に加えて、旅費、英文校正費なども使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 骨腫瘍2021
Author(s)
小田義直、?田朗彦
Total Pages
272
Publisher
文光堂
ISBN
978-4-8306-2255-7
-
[Book] 悪性軟部腫瘍2021
Author(s)
長谷川匡、小田義直
Total Pages
336
Publisher
文光堂
ISBN
978-4-8306-2256-4