手繋ぎ型胃癌の分子病理学的検討

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K16179
• Research Institution: Aichi Cancer Center Research Institute
• Principal Investigator: 藤田 泰子 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 研究員 (10750341)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 胃癌

Outline of Annual Research Achievements

手繋ぎ型胃癌は分化型胃癌の一組織型であるが、その細胞異型の乏しさから生検などでの組織学的診断が難しい胃癌である。また、予後の悪い未分化型胃癌に移行することも知られており、未分化型胃癌と共通の遺伝子異常を有することも報告されている。本研究では、予後の悪い未分化型胃癌に進展しうる組織型である手繋ぎ型胃癌の特徴を明らかにすることを目的としており、未分化型胃癌成分を伴う手繋ぎ型胃癌の各成分を分取して解析することで、手繋ぎ型胃癌から未分化型胃癌への進展に関わる分子学的異常を検討する予定である。手繋ぎ型胃癌の特徴については、臨床病理学的検討、免疫組織化学による検討、DNAメチル化解析やアレル不均衡性の解析、TP53、KRAS、BRAFなどの遺伝子変異解析といった個別の分子病理学的解析を行い、通常型の分化型胃癌との違いを明らかにしてきた。さらに、手繋ぎ型胃癌症例のなかで、未分化型胃癌成分を有する症例を抽出し、実体顕微鏡下でのマイクロダイセクションにより、同一の腫瘍内から未分化型胃癌成分と手繋ぎ型胃癌成分を分取したうえで、両成分について遺伝子パネルを用いた網羅的な解析を行うことで、手繋ぎ型胃癌が未分化型胃癌に進展する際の分子学的異常を明らかにすることができると考えられる。
当該年度では、手繋ぎ型胃癌と未分化型胃癌の各成分が実体顕微鏡下に分取可能かつ、次世代シークエンサーによる解析に必要な量の核酸が抽出できる各成分の腫瘍量を有する症例5例を集積し、十分量の核酸を抽出できた。比較対象としての純粋な手繋ぎ型胃癌症例と併せて解析の準備を行っている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

手繋ぎ型胃癌成分と未分化型胃癌成分が混在して移行する症例が多く、両成分が分取可能で、次世代シークエンサーによる解析に必要な十分量の核酸を抽出できる腫瘍量を有する症例が限られるため、当初の予定より時間を要している。

Strategy for Future Research Activity

集積した症例の順次解析と比較対照となる純粋な手繋ぎ型胃癌症例を含め、十分な腫瘍量の確保できる症例からの核酸抽出・解析を行っていく予定である。

Causes of Carryover

解析に必要な核酸量を確保できる症例数が限られ、当初の予定より症例集積に時間を要したため、遺伝子解析が次年度にずれ込み、解析に充てられる予定の費用が次年度使用額となった。次年度は主に、次世代シークエンサーによる解析に使用する計画である。