2021 Fiscal Year Research-status Report
Filigree pattern - A new concept for lung carcinoma pathology
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20K16180
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江本 桂 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40570859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Filigree pattern / 肺がん / 腺癌 / デジタルパソロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、肺腺癌の形態を網羅的に解析し、悪性度を反映する新しい形態学的特徴をFiligree patternとして報告した。Filigree patternは、米国のコホートを用いた研究で、既存の形態学的分類のうちで最も悪性度の高いMicropapillary patternと類似した悪性度を示したことから、Micropapillary patternの定義を拡大して内包することを提唱した。しかし、Filigree patternの本邦での意義や分子学的特徴に関する知見は乏しく、検討の必要があると考えられる。具体的には、①Filigree patternの本邦のコホートでの臨床的意義解明、②肉眼的・組織学的な特徴の整理、③特定の分子の検討による機序解明、④人工知能に よるFiligree patternの識別能向上、を目的とする。 二年目となる2021年度の成果は以下の通りである。 A)Stageで区分した際の症例数が少なかったため、組織標本の再評価症例を追加した。Filigree patternを含む組織亜型の再分類だけではなく、STASやNecrosisの有無も同時に評価した。 B)デジタル診断補助AIツールの作成に着手した。その際、異なる撮像機でのデジタルスライドを用いるとAIの結果に差が出るか疑問が生じたので、抗酸菌染色を用いたシンプルな系でこれを検討した。二つの撮像機を用いて、同じ部位の写真を教師画像としてAI診断補助ツールをそれぞれのデジタルスライドに対して作成した。これらのAIを異なる撮像機で得たデジタルスライドに用いると片方の撮像機のデジタルスライドは診断精度に差はでなかったが、もう片方では診断精度の低下を認め、撮像機ごとに相性が存在することが判明した。 C)各種免疫染色のパイロット研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は症例数を増やし、有意な結果を出すための感度を上げる土台を作ることができた。また、派生研究ではあるが、異なる撮像機のスライドを使った際に、補正なしではAI診断補助の結果に差が生じることを示した。その結果を受けて、Filigree patternに関するデジタルスライドはなるべく同じ染色条件、同一会社の撮像機を使うことを基本指針とする方向性となった。これらの結果は、最終データ解析に向かうために必要なものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き臨床病理学因子や他の定量データ等と合わせた解析作業を症例数を増やしたコホート(n=140程度)で行う。 ①Filigree patternの本邦のコホートでの臨床病理学的意義を検討する。 ②肉眼的・組織学的な特徴の整理。以前Micropapillary patternに特徴的な肉眼的特徴をとして第105回日本病理学会総会で報告したものをFiligree patternあるいはFiligree patternを含むMicropapillary patternと対比して再検討する。また、線維定量データとの対比を予定する。 ③特定の分子の検討による機序解明。可能な限り、Tissue microarrayではなくWhole slideを用いた免疫染色を開始する。 ④人工知能 (AI)によるFiligree patternの識別能向上。前段階として異なる撮像機で取得したデジタルスライドを用いるとAIの精度に影響があることを第111回日本病理学会総会(4月、神戸)で発表する(申請書作成時点で発表済)。Filigree patternを含む教師データの抽出が可能となったので、肺腺癌の診断AIを作成・精度検査を予定する。前述の予備実験の結果を重視して、デジタルスライドの取得は同一会社の撮像機を用いることとする。
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Causes of Carryover |
免疫染色よりも先にAI診断補助ツール作成関連の検討を行ったため、予定していた抗体費分が次年度に繰り越しされた。また、COVID-19の流行を鑑みて、参加予定であった学会をオンライン参加に切り替えたり、参加を取りやめたりしたことによることも次年度使用額が生じた理由である。 本年度および最終年度に繰り越した分の研究費を使用しての免疫染色や学会での発表および情報収集を予定している。
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