2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K16185
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
三原 勇太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (20869086)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 早期肝細胞癌 / dysplastic nodule / carboxypeptidase D / malic enzyme 1 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌の発癌経路のひとつとして、dysplastic nodule(DN)を母地として早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)が発生し、脱分化して古典的な肝細胞癌に進展する機序が考えられている。DNとeHCCの組織学的鑑別は必ずしも容易ではなく、簡便で有用なマーカーが必要である。本研究では、eHCCとDNの鑑別を可能とする診断マーカーを見出すことを目的とした。 当講座の過去の報告(Mihara Y, et al. Hepatol Res. 2019)をもとに、carboxypeptidase D(CPD)およびmalic enzyme 1(ME1)に注目した。令和2年度及び3年度までの研究で、eHCC18例とDN18例に対してCPDおよびME1の免疫染色を行った。その結果、CPD陽性率はeHCCで94.4%、DNでは50%であった。ME1に関して、eHCCでは55.6%(10/18)で発現欠失が見られる一方、DNでは発現欠失を示すものは1例のみ(5.6%)であった。eHCCとDNの鑑別において、「CPD陽性」と「ME1欠失」の組み合わせは、感度50%、特異度100%でeHCCを同定できた。また、これらのマーカーはeHCCの病変範囲を同定するのにも有用であった。 また、従来eHCCのマーカーとして報告されているglypican 3(GPC3)、glutamine synthetase(GS)、heat shock protein 70(HSP70)の免疫染色をeHCC18例で行ったところ、陽性率はそれぞれ22%、89%、17%であったが、いずれも局所的な発現や弱い発現に留まるものが多く、3つのマーカーとも陽性を示すものは3例のみであった。 以上より、CPDとME1の免疫組織化学はeHCCとDNの鑑別に有用と考えられる。
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