2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K16194
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒田 揮志夫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10772808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺浸潤性粘液腺癌 / 肺非粘液腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本研究に必要な症例の収集を行った
1. 本研究に該当する症例で浸潤性粘液腺癌症例を54例と、同時期に提出された非粘液腺癌症例の中からHE組織を再顕鏡し浸潤性粘液腺癌成分を含む症例を41症例抽出した。それらの短中期における予後調査を行った。その結果、浸潤性粘液腺癌症例、非粘液腺癌症例における、短中期(最長でも5年間)の再発率や生存率が明らかとした。中短期における再発率や生存率に差は認めなかった。この結果からは、現状の組織系の差異以外の差は明らかではなかった。
2. 次に浸潤性粘液腺癌症例(54症例)、非粘液腺癌症例(41症例)共に、HE染色標本の再顕鏡により組織系の再評価を行った。併せて、すでに行われているHNF4aおよびTTF-1染色の結果を再評価した。再評価を行うことにより、それぞれの染色性や染色強度などを評価することができた。非粘液腺癌症例では、HNF4aが染色されず、これらが異なる遺伝子変異を有している可能性が示唆された。今後、全症例にHNF4aおよびTTF-1染色を行い、さらに評価を進める予定である。さらに、遺伝子変異を明らかにすることで、浸潤性粘液腺癌症例を再分類する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去症例の予後調査は該当症例のすべてを評価することができた、この結果は追跡不可能症例が複数含まれると想定されていたため想定以上の結果であった。 また、HE染色の組織系の再評価、HNFaおよびTTF-1の染色の再評価では、3人の呼吸器を専門とする医師の評価を行うことができている。 やや遅れている理由として、まずはすでに染色が行われている症例に関して評価を行うのに手術症例では20枚を超えるスライドの再評価を行ったため想定以上の時間を要した。また、その中から染色を追加すべき症例の抽出に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続きE染色の組織系の再評価、HNFaおよびTTF-1の染色の再評価を行う予定である。当初の予定通り、浸潤性粘液腺癌症例、非粘液性腺癌のうちTTF-1(-)でHNF4a(+)症例に関して、遺伝子解析を行う。遺伝子解析は、次世代シークエンサーを用いて52遺伝子のパネルにより遺伝子変異を同定する。今回は、KRAS変異の各亜型に注目するとともに、その他の特異的な遺伝子変異やシグナル伝達の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、各症例における病理組織のスライドの枚数が多く(各症例5-10枚を想定していたが、各症例20枚程度)、再顕鏡、再評価に時間を要した。また、判定者間での組織系の判定に時間を要し、その後の研究において追加でHNF4aとTTF-1の免疫染色を行う症例の抽出に想定以上の時間を要したため、本年度は症例の抽出による人件費支出のみとなった。 次年度は、本年度予定していた免疫染色を行うための物品費(標本作製費、HNF4a、TTF-1の抗体購入費)を購入する予定である。また、コロナウイルス蔓延により使用できなかった旅費分に関しても、物品費として計上して、染色症例数を増やすことに充てる予定である。
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