2022 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚扁平上皮癌における腫瘍免疫療法および分子標的薬の適応についての研究
Project/Area Number |
20K16195
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
西田 陽登 大分大学, 医学部, 准教授 (30641120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 皮膚 / 扁平上皮癌 / PD-L1 / NGS |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間全体を通じて実施した研究として、皮膚扁平上皮癌(cSCC)の腫瘍発生に関連した遺伝子を検索し、cSCCに対する腫瘍免疫と比較・検討した。方法としては、cSCCの27例(診断時に転移巣のあった13例と転移巣のなかった14例)を蒐集し、その原発巣に対してnext-generation sequencing(NGS)を用いた遺伝子検索と免疫組織化学検査(IHC)を行った。その結果、転移巣のある症例は非露光部に多く、NGSにて総遺伝子変異数が多くみられ、IHCではtumor-infiltrating lymphocytes/CD8陽性細胞が少ないことが明らかとなった。また、転移の有無にかかわらずERBB4とNPM1の変異が認められ、cSCCの腫瘍発生に関与している可能性が考えられた。転移のある症例とない症例を比較することで、GNAQ、GNAS、JAK2、NRAS、IDH2、CTNNB1が腫瘍の転移に関わっている可能性が考えられた。今回の研究から、cSCCに対しても腫瘍免疫療法の効果があると考えられ、特に、露光部に発生したcSCC対しての効果が期待できる。またこの研究成果から、今後はcSCCに対する新たな治療戦略の可能性が広がり、現在、他の腫瘍について使用されている分子標的薬などを用いるドラッグリポジショニングや新たな分子標的薬の開発につながる。最終年度には、これらの内容を論文として纏め、英文雑誌であるPLoS Oneに掲載された(Nishida H, et al. CD8/PD-L1 immunohistochemical reactivity and gene alterations in cutaneous squamous cell carcinoma. PLoS One. 2023;18:e0281647)。
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