2022 Fiscal Year Annual Research Report
MYC関連蛋白MAXからとらえなおすDLBCLの分子動態
Project/Area Number |
20K16200
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山下 高久 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60464749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DLBCL / 次世代シークエンサー / プロモーター / MYC / MAX |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではびまん性大細胞リンパ腫(DLBCL)におけるMYC associated factor X (MAX)によるMYCの調節機構の解明を目指している。MYCはDLBCLにおける重要なドライバー遺伝子とされており、その機能亢進が悪性度に影響を及ぼすとされている。しかしながら、MYCの蛋白発現を正確に判定する方法はまだ確立されていない。そこで我々は、DLBCLにおけるMYCとその会合分子であるMAXに注目した。MAXはMYCとヘテロダイマーを形成 (MYC-MAX)し、多数のMYCターゲット遺伝子のプロモーター領域に結合し、増殖、分化、細胞周期などの遺伝子の発現を調整するが、一方でMAXはMAXとホモダイマーもしくはMGAやMNTなどのMYC抑制遺伝子とへテロダイマーを形成し、MYC ターゲット遺伝子の転写を抑制することが知られている。そのため、MYCとMAXの発現のバランスないしはMYCターゲット遺伝子のプロモーターへの結合状態を知ることで、DLBCL内の多数のMYCターゲット遺伝子の発現の調節機構が解明できる可能性がある。 具体的に行ったこととして、DLBCLの細胞株を使用してMYCとMAXのDNAへの蛋白の結合状態を確認するために、次世代シークエンサーを用いたChipseq解析を行った。Chip-seq は現在までに2つDLBCL cell lineで完了している。しかしながら解析した検体数が少なくデータとして報告できる状態ではないため、今後も順次解析を行っていきMYCターゲット遺伝子の発現調節機構の解明に努める。免疫組織学的な検討として、約300症例のDLBCL症例のMYC、MAXの免疫染色を行った。その染色結果や公共データベース (GSE4475, 11318, 31312, 117556)よりMYCだけでなく、MAXの解析を加えることでDLBCLの予後の層別化が可能であった。とくにMYC高発現MAX低発現群では、molecular Burkitt lymphoma, double hit lymphoma関連分子との関連性がみられた。この結果は第61回日本リンパ網内系学会総会 (2021年 岡山) で報告した。
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