2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K16212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保田 晋平 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任講師 (90808859)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 全身全細胞解析 / がん微小環境 / 組織透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においてはがん病態を分子から個体レベルまで統合して理解するためにマウス全身に局在するがん細胞の可視化技術の開発に取り組み、個体レベルでの網羅的1細胞解析の基盤技術を構築した。その結果、様々な臓器への転移を個体・臓器レベルで3次元観察することが可能となり、がんの転移に関与するサイトカインであるTGF-betaが、がん微小環境を変えることでがんの転移を促進するという、がん微小環境の新たなリモデリング機構を見出しました (Kubota et al., Commun. Biol., 2021)。 TGF-betaは多彩な作用をもつサイトカインですが、がんの進行期においてはがん促進的に機能することが知られています。 TGF-betaは上皮間葉転換(EMT)とよばれるプロセスを介して、がん細胞の運動・浸潤能を亢進させることから、進行したがんでは TGF-betaによって転移が起こりやすくなっていることが想定されています。ただし技術的な困難から、これらのプロセスをマクロのレベルからミクロのレベルまで生体内で完全に可視化するには至っていませんでした。 今回の研究では、これまでに樹立した簡便な組織透明化手法の開発に、機械学習による画像解析を組み合わせることで、がん微小環境内における細胞間相互作用の解析基盤を構築しました。本解析手法を用いることで TGF-beta刺激をうけたがん細胞が、TGF-beta刺激をうけていないがん細胞にも影響を与えてがん細胞の転移巣の形成を促進するという、TGF-betaの新たな作用を明らかにしました。またこの作用は、マクロファージなどから構成されるがん微小環境のリモデリングによって媒介されることが示唆されました。
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Research Products
(6 results)