2021 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドーシスにおける共通する分子の機能解析に基づく病態機序の解明
Project/Area Number |
20K16215
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮原 大貴 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (90823287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミロイドーシス / マウス / 老化 / マクロファージ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はアミロイド沈着周辺で生じる細胞応答の同定とその意義の解明を目的として、アミロイド線維投与による病態誘発モデルを用いて解析を行った。病理組織学的な解析から肝アミロイドを取り囲む形で抗IBA1陽性のマクロファージ細胞(クッパー細胞)が観察され、クッパー細胞は尾静脈注射で投与したアミロイド線維を積極的に貪食し分解する作用を示した。また、培養細胞系での実験によりマクロファージ細胞が、①エンドソーム-ライソゾーム経路を介してアミロイドを分解すること、②アミロイド分解過程において①の機能が障害されることを見出した。さらに、クロドロン酸内包リポソームの投与により細網内皮系のマクロファージ細胞が枯渇したマウスにアミロイド線維を投与したところ、病態の顕著な進行が認められた。一方で、病態誘発後にマクロファージ細胞を枯渇させたマウスでは、沈着量に変化は認められなかった。以上の結果から、細網内皮系のマクロファージ細胞はアミロイドーシス発症の初期段階において、血中のアミロイドの種となる分子を除去し病態抑制に寄与する可能性が示唆された。 現在のところ、貪食細胞のアミロイド分解機構とアミロイドインタラクトームとの間に明確な関係は見出せていないが、複数のアミロイドーシスにおいてインタラクトームとして補体系の共沈着が報告されている。この点に着目し、今後は組織のアミロイド沈着の前後で生じる免疫細胞集団の変化などについての解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスAApoAIIアミロイドーシスをモデルとして、老化に伴う自然発症での病態特性とインタラクトームの同定、および誘発病態における周辺細胞の応答を明らかとした。一方で、インタラクトームの時間的・空間的な変化の把握や、蛋白質凝集や線維形成の制御機構についての解析は進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに、アミロイドーシス発症後のサンプルを用いてアミロイド沈着のプロテオーム解析およびその周辺細胞の応答の解析を実施してきた。これに加えて、次年度はアミロイド沈着が開始する直前の組織試料をレーザーダイセクション装置により回収しプロテオーム解析を行うことで、アミロイドが沈着しやすい環境を構築するインタラクトームの解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の関係で参加を見送った国外学会があったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は学会参加のための費用として使用する。
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