2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of initiation and progression of thymic epithelial tumor
Project/Area Number |
20K16221
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 史仁 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (20806129)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Hippo経路 / 胸腺がん / Wnt-b-catenin経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺上皮性腫瘍は非常に稀な腫瘍であり、組織学的に胸腺腫と胸腺がんに大別される。重症筋無力症などの自己免疫疾患を高頻度に併発することから、胸腺上皮性腫瘍の発症・進展機構の理解は免疫学的にも重要であるが、その希少性から解析がほとんど進んでいない。また、胸腺上皮性腫瘍に対する有効な分子標的薬も報告がなく、今後新規治療薬の開発が望まれる。一方、Hippo経路は近年同定され、重要な腫瘍抑制経路として注目を浴びている。胸腺上皮細胞特異的にHippo経路構成分子の1つであるLATSを欠損させたマウスではエフェクター分子であるYAP1が活性化し、早期から胸腺がんが認められることから、その発症機構の解明とHippo経路を標的とした治療の可能性の検証を本研究の目的とした。 申請者らは、(1)マウス胸腺上皮でYAP1を欠損させると胸腺上皮細胞数が減少すること、(2) LATSに加えてYAP1を同時に欠損させると胸腺がんの発症が抑制されること、(3)ヒト胸腺上皮性腫瘍を解析したところ、特に胸腺がんにおいて高いYAP1の活性が認められること、などを見出した。このように、胸腺がん発症にHippo経路が関与する可能性やその治療標的としてYAP1阻害剤が有用である可能性を示すことができた一方で、胸腺がんの発症機構に関してはまだ不明な点も残されている。これまでに、b-catenin活性化型変異体トランスジェニックマウスではLATS欠損と同様に胸腺がんを発症し、逆にb-catenin欠損マウスではYAP1欠損マウスと同様に胸腺上皮細胞数が減少することが報告されている。今後、Hippo経路とWnt-b-catenin経路のクロストークを検討することでHippo経路異常による胸腺がん発症機構がより詳細に解明されるかもしれない。
|
Research Products
(1 results)