2021 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス制御による骨粗鬆症の新たな治療戦略:遺伝子欠損モデルラットを用いて
Project/Area Number |
20K16222
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
藤川 晃一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60782969)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨折治癒 / 骨粗鬆症 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性酸素を「制御」的に産生する酵素であるNADPH oxidase(Nox)が、骨組織のホメオスタシスの維持や骨病態に関与していることが明らかとなってきたが、その詳細なメカニズム(骨組織のどの細胞で、どのサブタイプのNoxが、骨病態に関与しているのか)は未解明な部分が多い。本研究では、老人性の低代謝回転型骨粗鬆症モデルラットであるSHRSPをもとにゲノム編集により作出したNox2とNox4を欠損するラットを用いることで、個々のNoxサブタイプの骨折治癒と骨粗鬆症という2つの骨病変での役割の詳細を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度に続き、SHRSPの対照ラットで骨粗鬆症をみとめないWKYと老人性骨粗鬆症モデルSHRSP、Nox2欠損SHRSP、Nox4欠損SHRSPおよびNox2, 4両方の機能が喪失するp22phox欠損SHRSPを使用し、2か月齢および7か月齢の時点で骨折モデルを作成し、骨折治癒過程の観察をHE染色にて行った。骨芽細胞数と破骨細胞数に着目すると、2か月齢での骨折モデルでは術後4週の時点では、いずれの系統でも増加していた。しかし、術後8週の時点では、WKY、SHRSP、Nox4欠損SHRSPでは正常に戻りつつあったのに対し、Nox2欠損SHRSPとp22phox欠損SHRSPでは、依然として増加したままであった。7か月齢での骨折モデルでも2か月齢と同様の傾向がみられた。また、術後8週での大腿骨の骨量をかんさつしたところ、SHRSP、Nox2欠損SHRSP、Nox4欠損SHRSP、p22phox欠損SHRSPで、WKYと比較して有意に骨梁が低下しており、Nox2欠損SHRSP、p22phox欠損SHRSPでは、SHRSPより有意に低下していた。
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Research Products
(2 results)