2020 Fiscal Year Research-status Report
New mechanism of teratoma formation associated with GANP function.
Project/Area Number |
20K16228
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
酒井 康弘 藤田医科大学, 医学部, 講師 (20754394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 転写共役型DNA傷害 / GANP / 奇形腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト奇形腫・胚細胞腫瘍の発症メカニズムをGANPの機能面から明らかにするために,当該年度ではCAG-ganp Tgマウスの解析とヒト胚細胞腫瘍の病理組織学的解析,転写共役型DNA傷害と奇形腫発生の関係解明についての研究を行った。 CAG-ganp Tgマウスの解析では,個体差があるものの52週齢程度までには2~3割程度の個体で奇形腫が発生した。これは奇形腫好発系のマウス129/Sv系統よりも遥かに発生率が高かった。奇形腫は雄では精巣に,雌では子宮正中部に発生するが,卵巣にはみられなかった。発生した奇形腫を免疫組織化学を用いて検討すると,奇形組織種によって多少の程度の差はあれGANPは過剰発現していた。一方で,他の胚細胞腫瘍は現在のところ発生していない。これらの結果から,GANPは,始原生殖細胞が卵黄嚢から後腸を経由して生殖隆起へ遊走する際に,性腺外の正中部に遊走異常を起こして胚細胞が迷入する過程に関わっていることが予想される。これらの結果は,未知な部分が多いteratomagenesisのの解明に新たな知見を与えるものである. ヒト胚細胞腫瘍の病理組織学的解析については,現在,正中奇形腫(midline teratoma)の症例を収集している。複数の施設に協力を仰ぎ,現在60例を超えるヒト精巣奇形腫・縦隔奇形腫の標本の検討を始めている。さらに症例数を増やす予定で,来年度には免疫多重染色にてGANP,c-kit,OCT3/4の共発現について検討を加える。 また,転写共役型DNA傷害と奇形腫発生の関係解明の研究について,R-loopを同定するために,S9.6モノクローナル抗体を用いて核内R-loop数をカウントできるような解像度での免疫組織化学の最適条件を検討し,実験系を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通りに進行しており,研究計画を大きく遅延させるような要素は今のところはない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従って,研究を進めていく。 CAG-ganp Tgマウスの129/Sv系統へのバッククロスを行い,奇形腫発症の効率が上昇するか検討する。また,ヒトの正中奇形腫や他の胚細胞腫瘍の症例を用いて,GANPとc-kit・OCT3/4の共発現について解析を加える。さらに,in vitro の細胞株を用いた実験を行い,奇形腫発生・増殖や維持にR-loop形成が必須か否かを検討する。Stemnessにも着目して,GANP過剰発現モデルでの精巣での山中四因子のmRNA発現量を比較解析する。
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Causes of Carryover |
ヒト正中奇形腫の症例は稀少で,収集に時間がかかったため,これらのGANPやc-kit・OCT3/4の解析がまだ完了しておらず,次年度使用額が生じた。ただ,これを除けば研究は概ね計画通りに進行している。次年度までに解析の終了していないヒト正中奇形腫の症例解析を行う。
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Research Products
(5 results)