2021 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1感染サルモデルを用いたウイルス感染動態を規定する因子の解明
Project/Area Number |
20K16229
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
星 碧 (中村碧) 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (10758395)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | HTLV-1 / 宿主免疫応答 / サルモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カニクイザルにおけるHTLV-1チャレンジ実験前後の宿主免疫応答および宿主制御因子の解析を通じて、HTLV-1感染動態に関わる因子を明らかにすることである。令和3年度は、令和2年度に引き続き免疫応答の解析を進めたとともに、宿主制御因子についての解析を行った。 令和2年度に行ったフローサイトメトリーによるTax特異的T細胞反応の解析と、市販キットを用いたラインブロット法および凝集法による抗HTLV-1結合抗体解析、および中和抗体解析を、令和2年度未解析であった検体について追加解析し、令和2年度に解析した内容と併せて総合的に評価をした。その結果、HTLV-1に感染した各個体で結合抗体、中和抗体およびTax特異的T細胞反応の誘導が確認された。また、プロウイルス動態に各個体で共通して影響を及ぼしている因子を認めるには至らなかったが、一部の個体ではプロウイルスに対して抑制的に見える免疫反応誘導が認められた。 一方、宿主制御因子について、HTLV-1チャレンジ実験を行った各個体の遺伝子型を解析し、プロウイルス動態との比較を行ったが、今回解析した宿主制御因子については遺伝子型の違いによるプロウイルス動態の差は認められず、HTLV-1感染動態への宿主制御因子の関与は示されなかった。 本研究で解析した宿主免疫応答および宿主制御因子のうち、HTLV-1感染動態に単独で影響を及ぼすと考えられる因子を明らかにするには至らなかったが、本研究を通じてカニクイザルモデルにおけるHTLV-1感染後のプロウイルス動態と宿主免疫応答の経時的な変化を解析することができた。今後はこれらのHTLV-1への作用を生体レベルだけでなく細胞レベルでも解析することで、宿主免疫応答の総合的な作用としてのプロウイルス動態への関与を評価することが期待できる。
|
Research Products
(3 results)