2021 Fiscal Year Research-status Report
ブドウ球菌食中毒の分子レベルでの理解と霊長類嘔吐モデルによる嘔吐活性の解析
Project/Area Number |
20K16249
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小野 久弥 北里大学, 獣医学部, 講師 (80704569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コモンマーモセット / 肥満細胞 / ブドウ球菌エンテロトキシン / 嘔吐型食中毒 / 受容体 / 細菌毒素 / 脱顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)の嘔吐発現の分子機構の解明を目的とし、小型霊長類のコモンマーモセットを用いることで宿主側の嘔吐に関わる受容体の同定を行う。さらに、同定された受容体の機能解析を行うとともに、嘔吐惹起に必要な毒素側の構造を解明する。最終的に霊長類における嘔吐発症メカニズムを明らかにし、ブドウ球菌食中毒の全容解明を目指す。 本研究で使用するコモンマーモセットは協力機関である弘前大学大学院医学研究科附属動物実験施設で飼養していたが、昨年度末より北里大学獣医学部での飼育を開始しており本年度もコモンマーモセット飼育数の増加に努め、現在7頭の飼育を行っている。安定した飼育と繁殖を行い、本研究計画の最終段階である遺伝子組換えコモンマーモセット作出の準備を進める。 腸管粘膜下組織肥満細胞において、SEが結合し、脱顆粒を引き起こす受容体となっている分子を特定するために、昨年度コモンマーモセット消化管抽出からSEと高親和性を示す分子を免疫沈降法およびファーウェスタン法による検索を行った。その結果得られた候補タンパク質について、当該遺伝子をヒト培養細胞にトランスフェクションし細胞内の分布およびSEとの結合能を確認した。複数の候補タンパク質について解析を行ったがSEと高い親和性を示す分子はまだ得られていない。 SEによる肥満細胞脱顆粒に関わる受容体およびシグナル伝達経路を解明するために、SEと相互作用する肥満細胞関連分子および膜タンパク質の検索を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度分離したSE受容体候補タンパク質について、培養細胞でのトランスフェクションおよびSEとの結合を観察したが高い親和性を示す分子が得られなかった。 またコモンマーモセットの飼育を弘前大学から北里大学に変更し飼育頭数が一時的に減少したため遺伝子改変コモンマーモセット作出に必要な頭数を確保できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在SEによる肥満細胞脱顆粒に関連する分子(膜タンパク質およびシグナル伝達経路)を解明するために、SEと相互作用する肥満細胞関連分子および膜タンパク質の検索を継続している。in vitroにおける研究では培養細胞へのトランスフェクションを継続するとともにCRISPR-CAS9システムを利用した機能喪失解析によるスクリーニングを行う。またin silico解析を並行して行いSEと高親和性を示す肥満細胞関連分子の検索を行う。
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