2020 Fiscal Year Research-status Report
菌体構成成分をターゲットとする常在真菌感染症の新たな免疫学的予防法の開発
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20K16256
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
田崎 園子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50824174)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Candida albicans / Th17 / 口腔カンジダ症 / 免疫 / 真菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Candida albicans (C. albicans )は健常なヒトに常在する代表的な常在真菌ですが、高齢者や易感染性宿主などに対しては皮膚や粘膜に難治性の日和見感染症を引き起こします。C. albicans による日和見感染症の治療法は現在、抗真菌薬による薬物療法が主体ですが、抗真菌薬の種類は抗菌薬と比較して数が少なく、新たな抗真菌薬の開発は莫大な費用を伴うため現実的ではありません。C. albicansに対する宿主免疫応答にはTh17細胞が重要な役割を果たすことが知られていますが、その制御機構は不明な点が多く残されています。申請者はこれまで、C. albicansに対する新たな免疫学的予防法の開発を目指して、C. albicans に対する宿主免疫応答の中核を担うTh17細胞を誘導するC. albicans の菌体成分のしぼり込みとその病態抑制能について解析を進めてきました。本年度はC. albicans から抽出されたTh17細胞分化誘導を担う菌体成分を、Th17細胞の分化を指標にして、種々のタンパク質の分離法によって分離し、プロテオミクス解析により候補タンパク質をしぼり込みました。さらに、候補タンパク質を断片化し、抗原をしぼり込む準備を進めました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに特定したTh17細胞分化誘導能がある菌体成分を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や2次元ゲル電気泳動により分画し、プロテオミクス解析により抗原をしぼり込みました。候補タンパク質は大腸菌発現系を用いて発現・精製し、マウス免疫細胞を用いてTh17細胞への分化誘導能に関して解析を進めました。さらに抗原エピトープを絞り込むために、候補タンパク質の遺伝子を断片化して発現ベクターにクローニングし、各断片の発現を確認できています。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、しぼり込んだ抗原タンパク質の断片を精製し、調整します。精製タンパク質断片をマウスに投与することで免疫応答を誘導し、その後、口腔にC. albicans を感染させ、口腔カンジダ症発症に及ぼす影響を解析します。
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Causes of Carryover |
【理由】計画研究は順調に進んでいますが、研究費の充足率が100%ではなく次年度の研究計画に本年度以上の予算を必要とするため。持ち越すことを決定しました。【使用計画】持ち越した研究費は次年度の計画研究である口腔カンジダ症発症の動物実験などに使用する予定です。
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