2022 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集マウスで明らかにする乾酪壊死を伴う結核肉芽腫の形成機構
Project/Area Number |
20K16260
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Research Institution | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
Principal Investigator |
中村 創 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 生体防御部, 研究員 (70764314)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結核菌 / マクロファージ / RNAシークエンシング / SP110 / SP140 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、転写因子であるSP110およびSP140遺伝子の結核免疫における機能を解析することで、乾酪壊死を伴う結核肉芽腫の形成機序を解明することである。 C3HeB/FeJマウスは、一般的な結核研究で用いられるC57BL/6やBALB/cとは異なり、結核菌感染時にヒト結核の特徴である乾酪壊死を伴う肉芽腫を形成する。これには、結核菌感染感受性に関わるsuper susceptible tuberculosis 1遺伝子座にあるSp110遺伝子およびSp140遺伝子の発現の減少が関連するとされている。一方で、ヒト結核におけるSP110遺伝子およびSP140遺伝子の機能は明らかになっていない。 これまでに研究代表者は、結核菌強毒株を感染させたC3HeB/FeJマウス由来マクロファージのRNAシークエンシング(RNA-seq)を行い、結核菌感染時のSp110、Sp140遺伝子による遺伝子発現制御機構について明らかにした。また、ヒトマクロファージ細胞株であるTHP-1に結核菌を感染させてRNA-seqを行った。各遺伝子のノックダウン(KD)により、炎症関連遺伝子群の発現が低下していること、SP140遺伝子KDがより顕著に免疫関連遺伝子の発現低下していることを明らかにした。最終年度は継続して、ヒトマクロファージにおいて、結核菌感染時におけるSP110、SP140遺伝子の機能解析を行った。 siRNAを用いてSP110、SP140遺伝子をKDしたTHP-1細胞ではI型およびII型インターフェロン応答に関与する遺伝子群の発現が低下していた。また、SP110、SP140遺伝子KD細胞では細胞内菌数の増加が抑制されていた。このことは、SP110、SP140遺伝子がヒトマクロファージにおいて結核菌感染による炎症反応を増加させて、結核感受性に機能することを示唆する。
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