2022 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス伝播経路の選択バランス制御機構の解析
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20K16267
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大橋 啓史 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 研究員 (40866761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HCV / 脂肪滴 / ウイルス伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎ウイルス(HCV)は非感染細胞へと自身を伝播する際にcell freeおよび cell-to-cellの2経路を利用するが、細胞内の感染性子孫HCV粒子がどちらの経路を選択して伝播するかのバランスを制御する分子機構は明らかではない。本年度は前年度に引き続き宿主細胞における脂肪滴産生状態に依存したウイルス伝播を解析した。HCV JFH1株感染細胞と非感染細胞を共培養し、HCV伝播の継時変化を定量したところ、HCVのエンベロープ抗体を処理した条件では感染の広がりがコントロールの36.9%まで低下した。すなわち、cell free経路によるHCVの伝播は全体の63.1%、cell-to-cell経路による伝播は36.9%であった。一方で芳香族炭化水素受容体の阻害剤を処理し、脂肪滴産生を低下させた条件では、cell free経路によるHCVの伝播は全体の79.4%、cell-to-cell経路による伝播は20.6%であった。またこれまでに、臨床分離株JFH-1と、実験室型キメラウイルス株Jc1-nにおけるウイルス産生とその伝播を解析している。株間でウイルスRNAの増幅には顕著な差がなかった一方で、Jc1-nの方が JFH1よりも約2.6倍ウイルス粒子放出能が高いことが示唆された。このことから、Jc1-nは新規伝播を効率化し、JFH-1は感染細胞内RNA量の最大化に適することが示唆された。特に、JFH-1は感染細胞内で脂肪滴を蓄積させるとともに脂肪滴単層膜上で子孫粒子を構築することが知られている。これらの結果から、JFH-1の伝播において感染細胞内での脂肪滴の蓄積がcell-to-cell経路によるウイルス伝播に寄与することが示唆された。
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[Journal Article] Different efficacies of neutralizing antibodies and antiviral drugs on SARS-CoV-2 Omicron subvariants, BA.1 and BA.22022
Author(s)
Ohashi H, Hishiki T, Akazawa D, Kim KS, Woo J, Shionoya K, Tsuchimoto K, Iwanami S, Moriyama S, Kinoshita H, Yamada S, Kuroda Y, Yamamoto T, Kishida N, Watanabe S, Hasegawa H, Ebihara H, Suzuki T, Maeda K, Fukushi S, Takahashi Y, Iwami S, Watashi K
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Journal Title
Antiviral Research
Volume: 205
Pages: 105372~105372
DOI
Peer Reviewed
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