2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒトメタニューモウイルスによる宿主自然免疫ハイジャック機構の解明
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20K16270
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
直 亨則 北海道大学, One Healthリサーチセンター, 特任講師 (00781741)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトメタニューモウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
インターフェロン誘導因子(ISG)は、インターフェロン(IFN)の刺激によって発言が誘導される遺伝子群である。これまでに数百種類以上のISGが報告されており、細胞内シグナル伝達経路の調節、抗癌作用、抗ウイルス作用など、様々な役割を果たしている。ウイルス学分野ではこれまで、ISGの自然免疫系における機能に着目し、抗ウイルス作用に関連した研究が主であった。しかし、近年抗癌作用、抗ウイルス作用以外の機能を有するISGに関する報告も複数あり、ISGの持つ多様な機能が注目されている。本研究では最新の遺伝子編集技術(CRISPR/CAS9システム)を用いて作成したゲノムワイドノックアウト細胞ライブラリー、及びISG発現ベクターライブラリーを用いて、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)の感染・増殖を増強するISGを同定することを目的としている。 4年度目の本年度は、これまでに同定したHMPVの感染・増殖を増強するISGが他のウイルス感染に与える影響について評価した。同定したHMPVの感染・増殖を増強するISGをノックアウトした細胞にニューモウイルス(RSウイルス)、パラミクソウイルス(麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)を感染させた。その結果、ISGノックアウトによる自然免疫機能の低下によると思われるウイルスの感染増強が見られる、もしくはノックアウトによる感染性の変化が見られず、ISGにおける感染増強はHMPVに特徴的な現象である可能性が示された。今後はHMPVの異なるウイルス株におけるISGの影響を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に重要と思われる宿主因子に関して個別のノックアウト細胞を作成し、他のウイルスに関してもウイルス感染における機能解析を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
HMPVには複数の亜型が存在し、培養細胞における増殖性や感染性が異なるため、これまでに作成したISGノックアウト細胞に様々な亜型のHMPVを感染させ、各亜型のウイルス感染におけるISGの役割を解明する。
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Causes of Carryover |
今年度は効率的に研究を進めたため、次年度使用額が生じた。次年度はHMPVの複数のウイルス株において実験を実施し、より詳細なメカニズムを解明する予定である。
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