2022 Fiscal Year Annual Research Report
小腸貪食細胞が腸管管腔中へ分泌する生理活性分子の探索及び生理的役割の解明
Project/Area Number |
20K16276
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 直樹 東京大学, 定量生命科学研究所, 助教 (80845107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘膜免疫 / 腸内細菌 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの先行結果として、Pla2gIId欠損マウスが加齢に伴いグラム陽性菌が増加した小腸細菌叢へと変化することを明らかにしている。腸内細菌叢解析と同時に個体表現系を評価したところ、SPF条件下で通常食の食餌で飼育したPla2gIId欠損マウスは野生型マウスに比較して有意な体重、体脂肪・肝組織重量の増加を認めた。この結果はPla2gIId欠損マウスは加齢に伴いNAFLD様の症状を呈することを示している。さらに、NAFLDの症状が腸内細菌に依存しているかを明らかにするためにグラム陽性菌に抗菌活性をもつバンコマイシンをマウスへ自由飲水により投与した。バンコマイシンの投与を受けたPla2gIId欠損マウスでは上記のNAFLD様の症状は確認されなかった。さらに野生型およPla2gIId欠損マウスの新生児期に7,12- dimethylbenz(a)anthracene (DMBA)を塗布することで肝癌モデルの作成を行った。上記同様に通常食にて60週齢の加齢時までDMBAを塗布したマウスを飼育し、肝癌の症状を評価した。結果、肝臓中においてPla2gIId欠損マウスは野生型マウスに比較して有意に多い数のガン組織の形成が確認された。またPla2gIId欠損マウスにバンコマイシンを投与することで、肝癌の症状が抑えられることが確認された)。これらの結果から、小腸CX3CR1+貪食細胞が腸管腔へ分泌するsPLA2IID分子が加齢に伴う、グラム陽性菌の増殖を抑制することで、老化に伴うNAFLDやNAFLD移行性肝癌の発症を抑制していることを示唆している。
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