2021 Fiscal Year Research-status Report
二次リンパ組織におけるB細胞/T細胞区画化の免疫学的意義
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20K16278
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小澤 まどか 新潟大学, 医歯学系, 特任助手 (50548740)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ節 / 二次リンパ組織 / ケモカイン / ストローマ細胞 / T細胞 / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ節、脾臓、パイエル板などの二次リンパ組織にはリンパ球が高密度に集積しており、これらは獲得免疫応答の誘導や記憶などを担う免疫システムとして重要である。獲得免疫系の主な目的は、ある抗原に対する高親和性抗体を産生するとともに記憶リンパ球を作り出すことにある。この時、強力な応答を惹起するためには抗原特異的に活性化したB細胞とT細胞が直接接触し、協調的に働く必要がある。しかし二次リンパ組織内では、特定の領域にあるストローマ細胞が異なるケモカインや誘引因子を産生し、それに対応するリンパ球を誘引することでB細胞とT細胞が分離して局在している。免疫反応にB細胞とT細胞の直接的な接触が必須であることを考えると、このような分離局在はむしろ非効率のように思われる。これは非常に根本的な問題だが理由は明らかにされていない。 T細胞とB細胞が分離して局在する理由としては、これらの細胞が混在した状態では獲得免疫応答の誘導効率が悪いか、あるいは非特異的な相互作用による不適切な反応が生じる可能性がある。しかし、予め隣り合った領域に2つの集団が分かれて存在していれば、活性化した細胞だけがお互いの領域の境界部に移動することで特異的に出会えるチャンスを格段に高めることができる。つまりT細胞とB細胞の分離局在は「必要な時に必要な場所で特異的に」相互作用を起こすために有利であり、時空間的に秩序ある応答の進行に不可欠である可能性がある。
本年は①B細胞を誘引するケモカインCxcl13遺伝子プロモーター制御下でT細胞を誘引するCcl21a遺伝子を発現する遺伝子改変マウス系統の樹立および②Cxcl21a遺伝子プロモーター制御下でCxcl13遺伝子を発現する遺伝子改変マウス系統の樹立を進めた。①②両系統についてすでにコンストラクトの作成を終了し、現在は目的に合ったマウス個体を樹立中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
T細胞領域にB細胞が混在したマウス系統、あるいはB細胞領域にT細胞が混在したマウス系統を樹立中である。コンストラクト作成および遺伝子組換えマウス個体の作成を順次行っているが、実際の目的に適したマウス個体はまだ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞とB細胞が混在したマウスを作製後、二次リンパ組織内構造を免疫組織染色、また免疫細胞およびストローマ細胞の構成についてフローサイトメトリーを用いて詳細に解析する。また抗体産生や免疫応答を測定し、T細胞とB細胞の混在により免疫反応がどれくらい影響をうけるか評価する。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウス個体がまだ作成できておらず、飼育および胚操作などの費用が次年度に先送りになった。遺伝改改変マウス個体を作成後、飼育・維持する費用として次年度は使用する予定である。
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