2021 Fiscal Year Annual Research Report
B-1細胞における制御性B細胞および自己抗体産生細胞への分化機構の解明
Project/Area Number |
20K16288
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
畑野 晋也 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (90834929)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | B細胞 / 加齢性B細胞 / 自己抗体 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、B細胞の制御性B細胞と自己抗体産生細胞への分化機構とBCRレパトアの特徴付けから、自己免疫疾患病態におけるB細胞の役割を明らかにすることである。また、老化により自己免疫疾患が増大し、自己抗体産生B細胞が関与することが報告されているため、加齢に伴うB細胞の病理的意義の解明を試みる。本研究では、ある特異的な時期に存在するすべてのB細胞を不可逆的にin vivoでラベルし、その運命トラッキングを可能にするマウスを使用することが他の研究で見られない特徴である。しかし、当初予定していた胎児におけるB細胞の運命追跡システムの確立が至らなかった。そこで、自己免疫疾患病態におけるB細胞の役割解明という研究目的を遂行するため、確立している成体マウスB細胞の運命追跡システムを用いて、老齢マウスで増加し自己抗体産生に関与することが報告されている特殊なB細胞(加齢性B細胞)の研究に取り組んだ。加齢性B細胞を規定するマーカーは詳細に同定されていないため、老化に伴い新たに増加するB細胞(老化B細胞)と、そのなかでも長期間B細胞として生き続けている集団(老化長寿B細胞)に着目し、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、若齢B細胞と比較して、老化B細胞と老化長寿B細胞において発現が高い遺伝子X(未発表のためここでは遺伝子Xと称する)の同定に成功した。また遺伝子Xのタンパク質発現は若齢B細胞では見られず、老化B細胞と特に老化長寿B細胞にて検出できたことから、老化(長寿)B細胞を同定する新規遺伝子となることが示唆された。また、BCRレパトア解析を行なった結果、若齢B細胞と老化B細胞のBCRは多様性に富んでいたが老化長寿B細胞では偏りが生じていることを見出した。以上の結果は今後のB細胞、特に加齢性B細胞の自己抗体産生細胞への分化機構と自己免疫疾患への関与の詳細な解明に寄与することが示唆される。
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