2021 Fiscal Year Research-status Report
血液腫瘍との類似性とNotchの転写制御に着眼した小細胞肺癌の治療標的因子の探索
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20K16296
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 弘成 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (30846655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 転写因子 / BACH2 / Notchシグナル / 悪性リンパ腫 / 鉄依存性細胞死 / フェロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性リンパ腫と小細胞肺癌の類似点に着眼して、肺癌の形質転換および悪性度に関与する転写因子の探索を行ってきたが、現時点で新規の有望な転写因子は抽出できていない。一方、ウイルスベクターを用いて、Bach2を過剰発現ないしノックダウンした悪性リンパ腫および肺癌の細胞株を樹立したが、それらを用いて、Bach2がNotch遺伝子の転写を制御するかどうか探索した。Bach2がNotch1, 2, 3の転写を抑制する傾向が示唆されたが、その影響はさほど顕著ではなく、Bach2によるNotch遺伝子の制御が生理的に重要かどうかは明らかにできなかった。Bach2以外にNotch遺伝子の転写を制御する他要因がある可能性がある。実験条件次第では、Bach2によるNotchの転写制御が顕著に観測できる可能性もあると考えられるが、現時点でその条件は突き止められていない。 鉄依存性細胞死であるフェロトーシスへの感受性を調べたところ、Bach2がBach1同様にフェロトーシスを促進することが判明した。現在、この研究を更に進め、Bach2によるフェロトーシス促進の機序の解明に取り組んでいる。本研究の過程において、フェロトーシス細胞からの脂質過酸化反応の伝播現象を発見することができ、その成果が2021年3月、Cell Death and Disease誌に掲載された。また、Bach1によるフェロトーシスの制御機構に関して、悪性腫瘍でのフェロトーシスを介したBach1の機能とNrf2とBach1の競合によるフェロトーシス制御の観点からそれぞれレヴューを執筆し、昨年度 (2021年9月と2022年2月)にそれぞれJournal of Biological Chemistry誌とFEBS Journal誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性リンパ腫と小細胞肺癌の類似性に着眼して、小細胞肺癌の形質発現に寄与する転写因子の探索と、Bach2のNotch遺伝子の転写制御の影響は当初、想定していたほど顕著な結果が得られていない。ただし、結果が想定通りではなかったものの、研究自体は遂行され、まとめる準備ができている。 ただし、本研究のもう一つの課題であったBach2がフェロトーシスを制御するかどうかに関しては、本研究で樹立した各細胞株を用いて検討することで、知見が得られているため、上記区分を(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
Bach2のNotch遺伝子の転写制御結果については、結果をまとめる。 Bach2のフェロトーシスへの影響については、促進作用があることが判明しており、この機序について探求を進める。
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Research Products
(7 results)