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2020 Fiscal Year Research-status Report

胃癌における新規免疫チェックポイント機構NKG2A/HLA-Eの制御因子の解析

Research Project

Project/Area Number 20K16308
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

山下 晃平  熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (00867202)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywords胃癌 / NK細胞 / HLA-E / NKG2 / Monalizumab / 可溶性HLA-E
Outline of Annual Research Achievements

NKG2A/HLA-E経路は、NK細胞の活性化を制御する新規免疫チェックポイント機構で、この経路を標的としたanti-NKG2A抗体(Monalizumab)の前臨床段階での抗腫瘍効果が報告された。本研究は、NKG2A/HLA-Eに注目し、胃癌の抗腫瘍免疫応答におけるNK細胞活性化の意義を検討する。また、NKG2A/HLA-Eの発現制御に関わる分子メカニズムを明らかにすることで、NKG2A/HLA-E阻害剤の治療効果予測のバイオマーカーの同定やPD-1/PD-L1阻害剤及び分子標的治療薬との併用療法の有用性を検討する。
まず、胃癌臨床検体を用いたNK細胞浸潤及び機能制御に関わるNKG2A/HLA-Eの評価として、胃癌切除検体を用いた腫瘍浸潤NK細胞の評価とNKG2A/HLA-E発現パターン解析を行った。胃癌根治切除検体191例を用いて、HLA-Eの免疫組織染色を行い、癌細胞のHLA-E発現を半定量評価するとともに、CD3及びCD56の二重免疫組織染色にて腫瘍浸潤NK細胞を半定量評価した。生存解析で、HLA-E高発現群、NK細胞低浸潤群が予後不良であることが判明し、がん局所のHLA-E発現やNK細胞の浸潤の程度が予後予測のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
続いて、HLA-E発現制御の分子メカニズムの検討を行った。細胞実験にて、IFN-γによる癌細胞膜表面のHLA-Eの発現上昇が明らかとなる一方で、経時的な観察でその発現上昇が低下し、細胞膜表面HLA-Eが切断タンパクにより切断されている可能性が示唆された。現在、培養上清中の可溶性HLA-Eの定量評価と免疫抑制効果の検証を行っている。
患者血液サンプルを用いた可溶性HLA-Eの定量評価も同時に進行中である。現在、集積が完了している約20症例のパイロットスタディーでは、胃癌のステージが進行するにつれ、血中の可溶性HLA-Eが多い傾向にあることが判明した。症例集積を継続し、リキッドバイオプシーとしての有用性について検討予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

胃癌臨床検体を用いたNK細胞浸潤及び機能制御に関わるNKG2A/HLA-Eの評価として、まず胃癌切除検体を用いた腫瘍浸潤NK細胞の評価とNKG2A/HLA-E発現パターン解析を行った。術前治療歴のない胃癌根治切除検体191例を用い、HLA-Eの免疫組織染色を行い、癌細胞のHLA-E発現を半定量評価するとともに、CD3及びCD56の二重免疫組織染色にて腫瘍浸潤NK細胞を半定量評価した。HLA-E高発現群は104例(44.8%)で、分化型胃癌、上部胃癌に有意に多く認めた。生存解析ではHLA-E高発現群、NK細胞低浸潤群が予後不良であることが判明し、がん局所のHLA-E発現やNK細胞の浸潤の程度が予後予測のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。上記の結果については、学会報告とともに欧文雑誌へ投稿中である。
血液サンプルを用いた末梢血NK細胞におけるNKG2Aの評価については、前向きに胃癌患者検体を採取しており、現在、約20症例の集積を行い、現在データ解析中であるが、例年と比較し、COVID-19感染症の拡大に伴う健診控えが影響してか、胃癌患者数の減少がみられ、症例集積に苦戦している。
in vitroでのNKG2A及びHLA-Eの発現変化と発現制御の分子メカニズムの同定については、胃癌細胞と免疫細胞との共培養や各種サイトカインなどとの曝露を行い、IFN-γがHLA-E発現を上昇させることが判明した。一方で、一旦上昇したHLA-Eの細胞膜表面の発現が、経時的に減少に転じることが判明し、細胞膜表面HLA-Eが切断タンパクにより切断されていると仮説をたて、培養上清中の可溶性HLA-Eを測定したところ、経時的に上昇していることがわかった。この、可溶性HLA-EがNK細胞の活性化抑制など免疫抑制効果を示すか検証予定である。その後、in vivoで胃癌マウスモデルを用いた実験を予定している。

Strategy for Future Research Activity

現在までに、予定していた研究計画のうち、臨床検体を用いた検討については、症例集積を継続し、詳細なデータ解析を行う予定である。特に、in vitroの実験にて、癌細胞の細胞膜表面のHLA-Eが切断され、可溶性HLA-Eの形で放出されることがわかった。可溶性HLA-Eにより、NKG2Aとの結合を介してNK細胞やT細胞の活性化低下、免疫抑制効果が明らかとなれば、治療標的となりうる。これを臨床検体での評価との統合解析を行い、可溶性HLA-Eと腫瘍局所のHLA-E発現との相関解析を行うことで、血液検査によるリキッドバイオプシーの有用性を検討できる。また、vivoモデルを用いた検討も漸次すすめていく。

Causes of Carryover

理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。

使用計画:試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 胃癌におけるHLA-E発現の臨床病理学的意義の検討2020

    • Author(s)
      森永 剛司、岩槻 政晃、山下 晃平、山根 大侍、松本 千尋、中村 健一、江藤 弘二郎、岩上 志朗、馬場 祥史、宮本 裕士、吉田 直矢、馬場 秀夫
    • Organizer
      第28回日本消化器関連学会週間/第18回日本消化器外科学会大会
  • [Presentation] The clinicopathological significance of HLA-E expression in advanced gastric cancer2020

    • Author(s)
      Takeshi Morinaga, Masaaki Iwatsuki, Kohei Yamashita, Taishi Yamane, Tasuku Toihata, Kenichi Nakamura, Yoshifumi Baba, Shiro Iwagami, Yuji Miyamoto, Naoya Yoshida, Hideo Baba
    • Organizer
      第79回日本癌学会学術総会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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