2021 Fiscal Year Research-status Report
mRNA分解制御に着目した肥満誘導性肝がん新規治療標的の探索
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20K16309
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山岸 良多 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30793145)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満誘導性肝がん / SASP / mRNA安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肥満誘導性肝がんの発症・進展に重要な遺伝子群であるSASP因子の肝星細胞における発現誘導機構について解析を行なっている。本年度は、肝がん腫瘍部由来の肝星細胞を用いて、ex vivo系におけるSASP mRNAの安定性を解析した。その結果、正常肝由来の肝星細胞に比べて、腫瘍部由来の肝星細胞では、発現増加が認められるGroα等のSASP因子のmRNA半減期が長くなっていることが確認された。また腫瘍部由来の肝星細胞では、mRNAの分解促進に関与するRNA結合タンパク質の発現低下も確認された。そこで今後これらRNA結合タンパク質の発現低下が、SASP mRNAの安定化を引き起こすか検証を行なっていく。 これらに加え、本年度は上記の肝がん腫瘍部由来の肝星細胞によるex vivo系を用いて、SASP因子の細胞外放出機構についても解析を行なった。その結果、肥満により増加するグラム陽性菌の構成成分であるリポタイコ酸(LTA)に刺激により、腫瘍部由来の肝星細胞特異的にSASP因子の発現誘導及びSASP因子の細胞外放出が認められた。さらに腫瘍部由来の肝星細胞に対して、LTAの受容体であるTLR2をノックダウンすることで、SASP因子の発現誘導及び細胞外放出が抑制されることを確認した。今後、SASP因子の細胞放出を制御する実行因子を同定していくことで、SASP因子の放出制御機構を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より確立した肝がん腫瘍部由来の肝星細胞によるex vivo系において、SASP mRNAの発現誘導に加え、半減期の増加を確認することができた。また、同実験系によりex vivoでのSASP因子の放出を観察することができ、今後放出因子の同定等の詳細な分子機構の解析が可能となった。よって、今年度は概ね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記ex vivo系を用いて、以下の様に研究計画を進めていく。 1) RNA-seq解析により、腫瘍部肝星細胞内のSASP mRNAの発現及び半減期を網羅的に解析し、相関性を評価する。2)腫瘍部肝星細胞内で発現変動が見られるRNA結合タンパク質の標的遺伝子と、半減期の増加が認められるSASP mRNAを比較評価する。3)SASP因子細胞外放出の実行因子を同定し、制御機構の解析を行う。
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