2022 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA分解制御に着目した肥満誘導性肝がん新規治療標的の探索
Project/Area Number |
20K16309
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
山岸 良多 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30793145)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満誘導性肝がん / SASP / GSDMD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肥満誘導性肝がんの発症・進展に重要な遺伝子群であるSASP因子の肝星細胞における発現誘導機構について、SASP因子mRNAの安定化が重要であると考え、肝がんモデルマウスの肝がん腫瘍部由来の肝星細胞を用いたex vivo系によりその解析を行っていった。その結果、腫瘍部由来の肝星細胞では、Groα等のSASP因子のmRNA半減期が長くなっていることが認められ、また腫瘍部由来の肝星細胞では、mRNAの分解促進に関与するRNA結合タンパク質の発現低下も確認された。 また本研究では、肝星細胞内で産生されたSASP因子の細胞外放出機構についても解析を行った。肥満誘導性肝がんモデルマウスの肝臓内ではグラム陽性菌の構成成分であるリポタイコ酸(LTA)が蓄積していることを確認していた。そこで、腫瘍部由来の肝星細胞をLTAと共に培養したところ、IL-1βやIL-33といったSASP因子の培養上清中への放出を確認した。また肝星細胞内においてパイロトーシスの実行因子として細胞膜上で小孔を形成することが知られるGSDMDという因子のN末端切断体(GSDMD-N)が細胞内に形成されることを見出した。そこで、このGSDMDのノックダウンを行ったところ、IL-1βやIL-33といったSASP因子の放出が抑制されることを確認した。さらにGSDMD-Nの阻害剤ジスルフィラムの添加によってもSASP因子の放出が抑制され、また肝がんモデルマウスに投与することで、腫瘍形成の抑制を確認することができた。これらの結果から、腫瘍部内の肝星細胞はGSDMD-Nによる小孔を介してSASP因子を放出することが明らかとなった。 以上の様に本研究により、SASP因子の発現制御機構ならびに細胞外放出機構に明らかとなり、肥満誘導性肝がんの発症・進展の解明における重要な知見を得ることができた。
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[Journal Article] Gasdermin D-mediated release of IL-33 from senescent hepatic stellate cells promotes obesity-associated hepatocellular carcinoma.2022
Author(s)
Yamagishi R, Kamachi F, Nakamura M, Yamazaki S, Kamiya T, Takasugi M, Cheng Y, Nonaka Y, Yukawa-Muto Y, Thuy LTT, Harada Y, Arai T, Loo T-M, Yoshimoto S, Ando T, Nakajima M, Taguchi H, Ishikawa T, Akiba H, Miyake S, Kubo M, Iwakura Y, Fukuda S, Chen W-Y, Kawada N, Rudensky A, Nakae S, Hara E, Ohtani N.
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Journal Title
Science Immunology
Volume: 7
Pages: eabl7209
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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