2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌関連線維芽細胞のTensin1を介する生理機能活性化機序の解明
Project/Area Number |
20K16310
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
本間 裕一郎 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70869247)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌関連線維芽細胞 / Tensin / 非小細胞肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たな癌関連線維芽細胞(CAF)の機能活性化制御因子としてTensin1(TNS1)に着目した。マルチキナーゼ阻害剤ダサチニブが癌細胞のみならずTNS1を介したCAFの生理活性機能をも制御するという、既存の効果発現経路とは全く異なる”新たなCAFを標的とした治療薬”としての有用性の検証を行った。 まず、非小細胞肺癌の手術肺検体から得られる癌組織からCAFの分離培養を行い、非癌部の正常肺線維芽細胞をコントロールとした。CAFで亢進している生理機能活性制御因子を同定するために、研究協力施設の理化学研究所においてコントロールとCAF両群のCAGEによる転写活性解析を行った結果、新たな癌関連線維芽細胞(CAF)の機能活性化制御因子としてTensin1(TNS1)に着目した。また、CAFの分化活性化能を検討するためのCAFを含むコラーゲンゲル収縮能の正常肺線維芽細胞を含むゲルと比較した結果CAF群で収縮能が亢進しており、分化活性化能が亢進していることが判明していた。これは、CAFとがん細胞の相互作用の独特な作用環境下での活性化機序と考えられ機序を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAGEによる網羅的プロモーター活性のバイオインフォマティクス解析を行い、コントロールとCAFの表現型の違いを明らかにして、CAFの生理機能に直接関与し得る制御因子TNS1を発見した。TNS1を介したCAFの活性化機序を特に分化能に着目して解明した。TNS1はたんぱくレベルでもCAFで発現が増強しており、TNS1のSiRNAでゲル収縮能は抑制された。この機序としてLynを介するSrcシグナルを介しており、Srcシグナル阻害剤で抑制されることを確認した。また、肺がん細胞と肺線維芽細胞との共培養で、ゲル収縮能は相乗的に増強し、TNS1の発現が増強し、がん細胞とCAFのTNS1誘導発現による活性化機序であることを解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
CAFのCAGEではそのほかのTNS FamilyであるTNS3も増強していたため、CAFにおけるTNS3の機能解明も行う。また、Src-Lynシグナルに間接的に関連し、ダサチニブの作用標的因子でもあるDDR2の発現も検討する。以上の研究結果を得たうえで、学会方向並びに論文投稿を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度は主にTNS1を介したCAFの活性化機序解明を行った。今後さらにTNS3やSrc-Lynシグナル系などに研究対象を拡大し、実験データが揃った段階で原著論文投稿や国内外学会発表などを予定しており、これらの費用として次年度使用額を用いる予定である。
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