2022 Fiscal Year Annual Research Report
Role of SS18-SSX fusion oncoprotein in DNA repair
Project/Area Number |
20K16312
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
山崎 寛之 東海大学, 医学部, 奨励研究員 (90837816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 滑膜肉腫 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
滑膜肉腫は染色体転座t(X; 18) (p11.2; q11.2)によって生じる悪性腫瘍である。染色体転座によって生じるSS18-SSXを線維芽細胞に発現させると腫瘍化することから、この染色体転座が滑膜肉腫の発症に重要であることが示唆されている。本研究は滑膜肉腫における相同組換え修復不全およびPARP阻害剤高感受性の原因を解明することを目的としている。 様々ながん細胞株に滑膜肉腫原因融合蛋白質SS18-SSXを過剰発現させたところ、HCT116細胞においてSS18-SSXの過剰発現によってRNF168のタンパク質量が増加していた。また、滑膜肉腫の細胞株でもRNF168の発現量が他のがん細胞株と比べて高かった。DNA二本鎖切断修復は主に非相同末端結合と相同組換え修復の2つの経路で修復される。RNF168の過剰発現は相同組換えではなく、非相同末端結合で修復されるようにDNA二本鎖切断修復経路の均衡を崩す。そこで、滑膜肉腫細胞においてshRNAを用いてRNF168を欠損したところ、滑膜肉腫細胞株が死んでしまった。さらに、非相同末端結合で働く53BP1とRIF1をそれぞれ滑膜肉腫細胞で欠損させると、RIF1を欠損させた細胞のみ死んでしまった。非相同末端結合では53BP1が上流で働くため、非相同末端結合とは異なるRIF1の機能が滑膜肉腫の生存に必要である可能性が示唆された。RIF1は非相同末端結合の他にDNA複製を負に制御する機能がある。そのため、滑膜肉腫においては複製ストレスが恒常的に発生しており、滑膜肉腫の生存にはRIF1によるDNA複製の抑制が必要であることが示唆された。これは滑膜肉腫に対する化学療法を確立する上で重要な知見である。
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Research Products
(3 results)