2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the combination effects of HDAC inhibitors and IMiDs
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20K16314
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
朝妻 知子 東京医科大学, 医学部, 助教 (70732303)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HDAC阻害剤 / 多発性骨髄腫 / IMiDs / CRBN / セレブロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HDAC阻害剤とIMiDsのコンビネーション抗骨髄腫効果の分子機構解明を目指しており、本年度ではpomalidomide (pom) 依存的なCRL4CRBN分解基質KEYに着目し、KEYとHDAC阻害剤の分子基盤および機能的相互作用の詳細を明らかにする解析を主に行なった。 これまでの実験結果においてKEYのタンパク質量減少が見られたHDAC阻害剤、panobinostatやromidepsinは、pan-HDAC阻害剤であり複数のHDACを阻害することが知られている。そこで、KEYのタンパク質減少を担うHDACを絞り込むため、多発性骨髄腫由来細胞株であるOPM2において各HDACのノックダウン実験を行い、immunoblottingによりKEYのタンパク質量変動を分析した。並行して、各HDACの細胞増殖への重要性もcell growthアッセイにより調べた。この結果、KEYのタンパク質減少・抗骨髄腫活性に関与するHDACs、HDAC X及びHDAC Yを見出した。加えてHDAC X/YのノックダウンやHDAC阻害剤処理を行ったOPM2細胞のサンプルを用いて定量的リアルタイムPCRを行い、KEYがmRNAレベルで減少していることを見出した。さらに、これらの処理を行ったOPM2細胞のサンプルを用いてトランスクリプトーム解析を行った。この結果、KEYが減少することにより変動する下流遺伝子群が明らかとなった。その中でも特に、c-mycやその標的遺伝子群の減少が見られることが判明した。以上から、HDAC阻害剤の抗骨髄腫活性はすくなくともc-mycの減少が重要な位置付けを閉めている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、1) KEYのタンパク質量を制御するHDAC(s)の決定、2) HDACとKEYの機能的相互作用の解明、3) KEYの減少により変動する下流因子の同定、の3項目を計画していた。 新型コロナウィルス蔓延防止のため研究室にて作業できない期間があったことは想定外であったものの、結果としては、当初の計画通りに3項目:1) KEYのタンパク質量を制御するHDAC XおよびHDAC Y、2) HDACのノックダウンや阻害によりるKEYの発現制御はmRNAレベル、 3) HDACの影響によるKEY減少により変動する下流因子(c-myc)の発見を達成できたことから、本年度の研究は順調に進んだと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、IMiDs (pom)による抗骨髄腫活性の主要な作用機序としては、造血系転写因子IKZF1/3の分解の結果c-myc及びIRF4両因子が減少することにより発揮されるとされている。本研究のここまでの結果では、HDAC阻害剤処理によりc-mycが減少しているが、この効果がIMiDs依存的なIKZF1/3の分解に相加的・相乗的なのかは不明瞭である。また、IKZF1/3の分解に依らないpomの未知の効果にKEYやHDACが関わる可能性も考えられる。そこで、2年目は当研究室にて独自に作製した、pom非分解型Ikaros/Aiolosを安定発現している多発性骨髄腫細胞株を用いて解析を行なっていく。この細胞株を用い、HDAC阻害剤とpomを共処理したサンプルを調製してトランスクリプトーム解析を行う。pomによる主要な事象であるIKZF1/3の分解が起こらない場合に、各薬剤によるc-mycの変動や、他の下流因子の変動がどの様に変化するのかをタイムコースなどで吟味する。これらの結果を踏まえ、HDAC阻害剤とIMiDsのコンビネーション効果についての分子基盤モデルの構築を図る。
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Causes of Carryover |
結果として本年度の研究は大いに進展したものの、新型コロナウィルスの蔓延により研究室に出入りできず、実験作業不可能な期間があったため、いくつかのトランスクリプトーム解析などの実施が次年度に先送りになり、結果として次年度使用額が発生した。 よって次年度において、元々の計画していた実験に加え、上述した解析などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)