2020 Fiscal Year Research-status Report
多くの癌での予後不良因子PLK1の過剰発現とPARP阻害剤とDNA損傷修復の関係
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20K16316
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐倉 杏奈 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 研究技術員 (80626698)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PLK1 / PARP阻害剤 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はPLK1過剰発現が相同組み替え修復不全をおこすメカニズムの解明をめざした。TCGA(The Cancer Genome Atlas)のデータベースを使用しBioinformaticsによる解析を行った。TCGAは2006年から米国で開始された大型がんゲノムプロジェクトであり、20種類以上のがん種について,ゲノム・メチル化,遺伝子変異、発現・タンパク質発現について網羅的な情報を公開しているデータベースである。その中のmRNAとタンパク発現データを解析した。PLK1過剰発現が特定のリン酸化酵素の発現に影響を及ぼすことががわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TCGAデータベースにある抗体によるタンパク発現とMASSによるプロテオーム解析を用いて、PLK1過剰発現が癌においてどのような作用をするのかを解析した。PLK1過剰発現と予後不良に関係がある癌種を選択。さらにTCGA内に抗体によるタンパク発現、MASSspecによるプロテオーム解析、mRNAの全てのデータがあるものは乳癌と卵巣癌のみだったので2種類の癌で解析をした。PLK1のタンパク発現データが非常に少なかったため、最初にPLK1のmRNAとタンパク発現の相関を確かめた。両者に正の相関があることから、mRNAデータを用い過剰発現を定義した。mRNAのZスコア1(中央値+標準偏差1)以上を過剰発現と定義し、抗体によるタンパク発現の2群間比較を行った。乳癌及び卵巣癌のデータベースでPLK1過剰発現による発現変動遺伝子データをパスウェイ解析ソフトウェアIPAでさらに解析し、どちらの癌でも共通に上昇しているパスウェイを導き出した。乳癌及び卵巣癌どちらにも共通するパスウェイはCyclins and Cell Cycle Regulationでした。その中でも特にサイクリンB(CCNB1)とCDK1が共通に発現上昇していた。Bioinformaticsによる解析を細胞株レベルでも確かめるために乳癌と卵巣癌の細胞株を用いて、PLK1を過剰発現させた場合、サイクリンBとCDK1の発現を検証する実験をこれから行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はBioinformaticsのデータ解析によって導き出したデータを実際の細胞株(乳癌と卵巣癌)で再現性を確認する予定である。 乳癌や卵巣癌に恒常的にPLK1の高発現する細胞と短期的にPLK1の高発現する細胞を作成する。その細胞の細胞周期をFACS等で確認した後、ウェスタンブロットで細胞周期に関係するタンパク、特にサイクリンBとCDK1の発現を確認する予定である。次にこの細胞周期に関係するタンパクとPARP inhibitorの感受性がどのように関わってるかを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はBioinformaticsによる解析のみを行い、細胞株や動物実験は行わなかった。次年度は細胞株や動物実験等を行うため今年度使用しなかった分を次年度分として使用する。
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