2020 Fiscal Year Research-status Report
消化管における酸素飽和度に着目したがん不均一性の解明
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20K16319
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
南出 竜典 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, レジデント (70809821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸素飽和度 / イメージング / 消化管がん / がん不均一性 / 内視鏡 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素飽和度イメージングを用いて採取した臨床検体のバイオインフォマティクス解析や分子細胞生物学的解析を通じ、がん酸素飽和度不均一性の生物学的機序を解明することを目的として本研究を開始した。研究計画通り、酸素飽和度イメージングを用いた臨床検体採取、網羅的遺伝子発現解析および酸素飽和度に応じた情報解析、情報解析で同定したシグナル経路に関する分子細胞生物学的解析を実施した。 具体的には、6例の進行胃癌患者より同意を取得し、同一病変部内で低酸素領域と高酸素領域に描出される癌部位および比較対象として非癌部位より、イメージングガイド下で検体採取を行った。また、検体採取部位の組織酸素飽和度値を専用のソフトで解析したところ、イメージングで認識された酸素飽和度の差異が客観的にも異なることが確認できた。 次に、各検体より精製抽出したRNAを用いてqRT-PCRを行い、HIF関連遺伝子の発現レベルを検討した。その結果、HIF関連遺伝子(HIF1A, VEGFA, GLUT1)に関して、いずれも低酸素腫瘍より高酸素腫瘍で発現が亢進していることが分かった。 また、RNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析も行ったところ、癌と正常組織の間での発現パターンの違いが明瞭にクラスタリングされた。現在、低酸素腫瘍と高酸素腫瘍それぞれでの発現変動遺伝子に関するエンリッチメント解析を行っている。その結果を踏まえ、各検体における免疫組織化学染色を行い、タンパクレベルでの検討を行う予定である。 以上より、酸素飽和度イメージングががん不均一性の解明につながる強力なツールであることが分かり、今後さらに詳細な生物学的意義の検討に繋げたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として、1) 酸素飽和度イメージングを用いた臨床検体採取、2) 網羅的遺伝子発現解析および酸素飽和度に応じた情報解析、3) 情報解析で同定したシグナル経路に関する分子細胞生物学的解析、4) 酸素飽和度に応じたシングルセルRNA-seq解析を想定していた。現時点では、1)から3)に関しては進展していると考えており、総じておおむね順調な進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き採取した臨床検体を用いた情報解析、免疫組織化学染色を継続する予定である。なお、酸素飽和度に応じたシングルセルRNA-seq解析を計画していたが、シングルセル解析に耐えうる検体量の確保が難しいことが懸念されている。また、研究代表者の施設変更に伴い、実施が困難となると考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度で臨床検体を用いた免疫組織化学染色を行う予定であったが、遺伝子発現解析の結果を詳細に検討してから行うこととなり、免疫組織化学染色を年度内で行うことができずに未使用額が生じた。このため、引き続き未使用額は免疫組織化学染色に充てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)